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「それじゃ、善三さん、早速なんですがあの辺りは携帯電話が繋がりませんので、まずはそれをなんとかしてもらうのと、あとネットなどのインフラ整備も早急にお願いできますか?」
「はい、それならすぐにでも携帯電話会社に掛け合ってみましょう」
「お願いします。あと、知り合いにパソコンに精通してる方がいるといってませんでしたっけ?」
「あぁ、智明のことやな、あいつならもう出稼ぎから帰ってきとるはずやけどな」
「じゃあ、その方にも手伝ってもらえるよう頼めないですか?」
「そらぁー、喜んで来よるわ。それやったら、他にも手に職もってる奴おるで。あそこは珍材の宝庫やからな、だから多少癖のある変わった奴も多いけどな。ハッハハ」
その時だった。紗綾の頬っぺたをパンパンと小さい範囲で叩くものがあった。紗綾しか視えていないミケの猫パンチだ。もちろん、周りにはミケの声も聞こえていない。
『紗綾、新しい仲間を入れる時は必ず俺に一度会わせるにゃんよ。さもないと、ろくでもない奴が一人でも入ったら、どえらいことになるからにゃんよ、にゃんにゃん』
それもそのはず、猫は人の善悪を見極める。その辺の野良猫でも良い人間か悪い人間ぐらいは瞬時に判断できるようだ。おそらく生存本能が働くのだろう。太古の昔から人間と共に暮らしてきた猫。もしも心ない飼い主と一緒に暮らしていたのなら、いつかは皮を剥がされ何かの道具に使われるだろう。それに、肉まで食べられるかも。
「はいはい、ミケ、わかったわ」
「ん? 紗綾ちゃん誰と喋ってるんや?」
「いやいや、なんでもないです。えっと、善三さんも皆さんも、もし新しいメンバーを連れて来るときは、必ず最初に私に会わしてもらってもいいですか?」
「了解しました」「はい」「了解でーす」「オッケーよ」「ウッス!」………
「では最後に、温泉施設で働く皆さんに言っときます。あの温泉施設などのビジネスが軌道に乗るまでは、ちゃんとしたお給料は払えません。ですが、衣食住はちゃんと保証します。それでも皆さんは大丈夫ですか?」
その問いには、寛太とアンナがほぼ同時に答えた。
「そんなん全然かまへんで!」「ノーブロブレムよ!」
そのあとも皆が納得したように返事をする。そして、善三が皆の士気をより高めようとする。
「じゃあ、みんな! わしらは今まで、地面を這いつくばるような生活やったけど、やっとこれからはそんな糞みたいな生活から抜け出せるんや! それに、これまでわしらをバカにしとった奴等を見返す意味でも、ちょっと気合い入れて頑張ろかっ!!」
善三のこの言葉で、またしてもデイルーム中が歓喜に包まれた。
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