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さあ、そろそろ始まるというとき、抽出機械を眺めていた紗綾は突如、目を皿にした。UFOキャッチャーのゲーム機のような抽出機の中に一匹の三毛猫の姿が目に飛び込んできたからだ。
「えっ!? 嘘っ?」
思わず声をあげてしまった紗綾に善三が心配する。
「どうしたんや紗綾ちゃん、なんかあったか?」
「あっいえ、ごめんなさい、なんでもないです」
その猫の姿は紗綾しか視えていない。視えるようになったのは、およねとミケの配慮だった。
「はじまるわよ」
わくわくしながらアンナが目を輝かしている。他のみんなも、ドキドキしながらことの流れを見守ろうとする。
一人一人の手元には紗綾が購入したラト10のくじのコピーが。皆それを握りしめ呼吸するのも忘れている。というのも、人智を越えた力の持ち主のおよねから聞かせれていたからだ。今回の宝くじも紗綾が当選すると。
紗綾が選んだ番号はここにいるメンバーの誕生日だった。長い入院生活のなかでよく見舞いに来てくれた香織やまさる、高槻夫妻、幸治夫妻、寛太とも仲良くなっていた。
そうこうしているうちに玉が空中を回りだした。機械の中ではミケが三本の尻尾をゆらゆらと揺れ動かし、さあやるぞっ、といった具合に大きなお手々を広げていた。紗綾の目にはミケの意気込みが伝わってきている。
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