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3

 紗綾は目を丸くしながらパーカーのポケットに手を入れた。さっき買ったばかりのラト10の宝くじを大事そうに指先で感じとっていた。


(この1枚の紙が85億円ってことよね、ほんまなんかな…)


 にわかに信じられないと紗綾はおよねの顔をまじまじと見つめながら訝しげな顔を浮かべた。


「まあ、信じられんかもしれんが、それが誠の真実じゃ。それで、どうするんじゃ? 先方も他に話がきとるみたいで、わしにせっついて聞いてきとるんじゃ」


 およねはそのあとも、考えている暇はない早く返事をだせと詰め寄ってくる。しばらく絶句する紗綾。そんな紗綾を見かねてか紗綾の頭を、ぱっぱんっと連続で叩く者がいた。


「えっ! 誰?」


 頭を押さえた紗綾は後ろを振り向くも真っ白の壁があるだけ。小首を傾げる紗綾はおよねの方に視線を戻した。


 だが、なぜかおよねがうっすらと笑っている。よりいっそう眉に皺をよせ、よくわからないっといった顔をみせた。したらば、およねは紗綾にではなく紗綾の後方に言葉を発した。


「これ、これ、涼平、紗綾の頭に猫パンチをしちゃいかん。ちゃんと姿を見せて言葉で説得せな」


『わかっにゃんよ、およねさん』


 涼平はそう言うなり、くるりと猫の体を空中で回転させて紗綾の前に立ちはだかった。その姿は、どこか妖艶な雰囲気を漂わしている。トレードマークの額が斜めパッツン模様に三本の長い尻尾がゆらゆらと揺れ動いている三毛猫。


「よっ! 紗綾」


 猫が座った姿勢で右手を手招きするように上げている。紗綾はその三毛猫を食いいるようにみつめると、徐々に懐かしさが込み上げた。


「ミケ、ミケなのね! ──へぇ~、大きくなって…会いたかったぁ!」


「挨拶はいいにゃん。俺は、あの爆発以来ずっとお前の傍にいてたにゃん。──それより紗綾、そのホテル、迷ず買うにゃんよ!」


「だって、急にそんなこと言われても……それにいくらするかもわからないし」


 その問いにはおよねが答えた。


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