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「そうです。ただ、涼平君の姿は見えなくって、声だけが聞こえてきて…」
およねはそれを聞き納得したように頷いた。
「そうか…もう知ってると思うが紗綾、お前さんが子供の頃、助けた猫はちょっと変わった猫での…わかるやろ?」
「はい、変わった猫っていうのはわかるんですが、でもどうして猫が人間に変身できたんですか?」
「ようは涼平は、妖しだったんじゃよ。それも猫又の。その猫又の中でも変わった力を持っておっての、まことの招き猫なのじゃよ」
「そうだったんですね、妖しの招き猫だったんですか…えっ! あやかしの招き猫!!??」
「別に今更、驚くことはなかろう。そのお陰でお前さん達も助かったんじゃ」
「そ、そうですよね」
「そうじゃ、この世には人ならざる者がたんとおるでの。現に生きている人間よりも死んでいる人間の方が圧倒的に多いからの」
「……」
普段から視えているから言えることなのだろうが、紗綾はおよねのその言葉に考えさせられ何も言えなかった。
「紗綾、それでお前の考えを聞いときたいんじゃが、あのホテルはどうするんじゃ?」
「もしかして、コンレットの購入の件ですか?」
「そうじゃ、それしかなかろう」
「でも、およねさん、まだ宝くじが当たるかどうかもわからないですし…今からそんな話をしても皆に笑われてしまいますって」
「バカたれ! わしゃ、なんもかんもわかって話とるんじゃ。猫又の涼平がお前に宝くじを当てさすと言っとるんじゃから間違いないわい!」
(まじでか! ミケは妖しで、そんな力があったんや……)
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