4
「クリアー!」
声を張り上げた救命士は、他の人への感電を防ぐため周りに人がいないか確かめてからショックボタンを押した。そのとたん、紗綾の身体が小さく跳ね上がる。すぐに胸に耳をあてる救命士。その刹那、救命士の顔つきが、よりいっそう険しいものとなり再び胸部圧迫マッサージをしだす。
そんなときだった。駐車場の脇の植え込みからよろよろと一匹の猫が現れた。高槻の家で飼っていた、おでこが斜めパッツン模様の三毛猫だ。言わずもがな、この猫の正体は涼平。
全身が焼け焦げて黒くなっているが、かろうじて三毛猫だと判断できる。足取りもおぼつかず、震えた足でなんとか歩いている。かなり弱っている様子。
爆発するほんの少し前に嫌な予感がした涼平は、妖力を用いてタクシーから擦り抜けた。そして、紗綾を守ろうと紗綾と善三の前に覆い被さった瞬間に爆発、寸前のところで涼平が盾になったのだ。
でも、今この時、紗綾と善三の意識は戻っていない。それにあせった涼平は紗綾の元へ近づこうと、大火傷と傷を負った体に鞭を打ち必死で歩こうとしていた。
「紗綾、ちょっと待ってろよ、俺が絶対に助けてやるから…」
そう弱々しくつぶやきながら、横たわったままの紗綾に近づこうとする。救急措置をされている善三の横を通り、あと少し歩けば紗綾の元だ。そのとき、救命士の1人が猫の存在に気づいた。
「おい、その猫をあっちにやってくれ! すぐにショックボタンを押すぞ」
それを聞き別の救命士が猫を捕まえようとする。だがこのとき、立っているのもやっとの三毛猫が力尽き、その場でばたりと倒れ込んだ。
お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。




