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3

 消防隊員達は到着するなり、矢継ぎ早に消火活動にはいった。そのすぐ近くでは、救命士が倒れている善三と紗綾の元へ走り出す。


 到着するなり救命士が紗綾の両肩を軽くたたいて「大丈夫ですか?」と何度も耳元で話しかけている。その傍らでは、善三も同じように反応を確かめられている。だが、2人ともまったく反応がない。


 完全に意識がないと判断した救命士達は、次いで呼吸の有無と、胸部と腹部の動きを目で確認しだす。


 彼らは2人に呼吸がないと判断し人工呼吸と胸骨圧迫マッサージを行ないアドレナリンを投与するも、それでも呼吸をしなかった。そうして、最後の手段である心肺蘇生の準備を始めようとする。すでに2人分のAEDが用意されており、準備ができた順から電気ショックを始めていく。


 ところが、パットを紗綾の胸にあてようとシャツのボタンを外したとたん、さらしを巻いているのに戸惑ってしまう。それでも、急いでハサミを取りに行き、さらしを切った。しかし次の瞬間、またしても胸の膨らみに戸惑い覚えた。だが、目の前で倒れている女性は完全に生死の狭間をさまよっている。これは時間との勝負だ。驚いてなどおられないと、救命士は職務をまっとうしようとする。


 その少し距離をおいた場所では、もくもくと煙に包まれたタクシーに消防士達が近づいている。そしてタクシーのドアを一人の消防隊員が特殊な電動工具を用いて手際よく開けた。そうしてから、ガタイのよい二人を軽々と車中から引きずりだした。


 タクシーから救出されたアンナと高槻も同じような手順で意識と呼吸の有無を確かめられる。が、そのときだった。突如、アンナが大きな目をしばたたかせた。運よく意識を取り戻したようだ。


 隣の高槻は元々意識があるものの、分厚い胸を押さえて苦しそうにしている。意識を取り戻したアンナも険しい顔をして、なにが起こったのかわからない様子。どちらも顔や身体のあちこちに火傷や打撲、擦過傷の痕が痛々しく浮き出ている。

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