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ちょっとの間ここで、時をやり過ごすと、涼平がなにくわぬ顔をして戻ってきた。
「あっ! 涼平君、お腹、大丈夫だった?」
紗綾は心配もするが、涼平の頭から生えていた耳とお尻の部分に目がいった。そのジロジロと見られる視線が気になった涼平は、秘密を知られたことを覚った。そして、しれっと誤魔化そうと頭に手をあてた。
「大丈夫や。ん? なんや? 俺の頭になんかついてるか?」
「う~うん、なにもついてないよ」
頭を振った紗綾。でも内心は困惑した心持ちだった。
(やっぱ、見間違えだったのかな……?)
「さあ、そろそろ道の駅に行かな、間に合えへんぞ」
高槻が全員に告げるとタクシーの方へと歩き出す。皆もその言動に促されるようにして後へと続いた。
「よっしゃ、しゅっぱ~つ」
「ゴリのおじさん、安全運転でお願いね」
ふむふむと頷く高槻。後ろでは、善三が涼平に話しかけていた。
「涼平が、開けた場所って言うてたとこ、ほんまにそこにはゴルフ場があったわ」
「そうやろ。ゴルフ場とは知らんかったけど、あの土地も買いやで。で、そのゴルフ場、いくらぐらいなんや?」
「それは、今はわからんわ。あの年寄りが言うには、競売に何度かかけられとったらしいわ。ふんで結局、買い手がつかへんかったって言うてるし、今は処分する価格で販売してるんとちゃうか? でもなんで、あんな潰れたゴルフ場が買いなんや?」
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