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「けど、タクさん、刑事も一緒に売ろうとする奴を捕まえに来よるんでしょ。それやったら、かなりヤバいんちゃいますの?」
「せやけどの、今そんなこと言うてられる状況やあらへんしの。なにがなんでも、おまえの声が入った録音データを回収せなあかんやろ」
「でもタクさん、捕まったら元も子もありませんやん。なんか、ええ考えありますの?」
「まぁせやな…俺が思うにおそらく警察は、犯人を捕まえてから一時的にパソコンとかを証拠品として預かるやろうから、その前になんとかせなあかんやろうな」
「その前って、どういうことっすか?」
「せやから、パソコンとかの受け渡しの時に泥棒を装って盗むしかないやろ。オッサンと元カノを拉致るんは、警察が離れてからや」
「そんなヤバい役目、誰がするんっすか?」
「ふっ、ちょうど、うってつけの奴を連れてきたんや」
タクがそう言うと、バックミラーで後続車を見てほくそ笑んだ。
後ろには、ワンボックスカーと、最新式の大型バイクが後についてきている。惠介もその後続車を振り返った。
「えっ! あいつらにやらすんすっか?」
「せや、あの単車に乗ってるんは、元々、鈴鹿でテストドライバーしてた奴や。それに、めっちゃ足の早い奴も連れてきたし。そいつに盗ませて単車の奴に渡したら、あとはどこまでもかっ飛んでいきよるわ。絶対に白バイでも追いつかれることあらへんしな」
「でも、そんなことしたらナンバーで足がつくんちゃいますの?」
「誰がこんなヤバい仕事に自分のバイク持ってくるアホおんねん。盗難車に決まってるやろ」
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