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木漏れ日が揺れる林のなか、すぐに涼平は木陰に隠れた。
「はあ~、はあ~、やべぇー、紗綾に見られてしもーたかな? 今日は朝っぱらから人間に化けてたせいで妖力切れや、はぁ~、やっぱ、まだまだ俺は未熟だにゃん」
すると、田んぼの方から紗綾の心配する声が飛んできた。
「ねえ! りょうへいくーん! だいじょーぶ?」
「ああーぁ、問題ない。ちょっと急にさしこみがきて、先にアンナのところに戻っといてくれにゃん」
(ほんま、やべぇー、もう力が…)
力尽きた涼平は、みるみるうちに猫の形へと姿を変えた。
(ちょっと、休んどけばまた人間の姿に化けれる。しばらくここで休んでおこう)
そう、今更だが涼平は猫であった。それも、一般的には「化け猫」「猫又」「妖し猫」と呼び方は様々であるが、要は猫の妖怪だ。
仔猫の頃、川で溺れかけていた涼平は偶然にも紗綾に助けられた。その後も、紗綾は仔猫を家に連れて帰るが、母親に飼うのを反対され、近くの空き家で来る日も来る日も子猫の世話をし続けていた。
だが、紗綾が中学に上がる頃、父親が急に癌で亡くなりあえなく他の地域へと引っ越した。が、他の地域といっても京都市内からは出てないのだけれど。
その頃から、紗綾とは疎遠になった。ところが、運命のいたずらなのか、たまたまおよねが、ぼろアパートに紗綾を連れてきたのだ。
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