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「ちょっと、涼平君、なに訳のわからないことを言ってるのよ」
「いや、紗綾ちゃん、涼平の言ってるん、まんざらええ加減な話でもなさそうやで」
「えっ、善三さんまで…」
「ここは、鉄板で覆い隠してあるけど茅葺き屋根の家が多いやろ?」
「はい、でもそれがいい土地と何の関係があるんですか?」
「うむ。茅葺き屋根っちゅうんはな、台風とかの風に弱いんや。でも、この地域に百年以上も残っとるちゅうことは、今までに大きな災害がなかったっていうことなんや。それに、古い建物がよーさん残っとるんも、大きな地震が起こってない土地やったっていうことなんやで」
「せや、善三さんは人間のくせに色々よー知っとんな」
「人間のくせにって、涼平君も人間でしょ!」
紗綾の突っ込みに涼平は聞かぬふりをして話を続けた。
「それとな、あといくつか付け加えると、この土地は日当たりもええし湿気も少ない。山の際でもないから土砂崩れの心配もない。その上、南は開けてるし、北は大きな山で守られてる。西には街道へ抜ける道と蛇行する川がある。東からはお日さんがよー射し込むし、神社もある。せやから尚更ええんや」
「なるほど、涼平は風水にも長けてるんか?」
「いや、俺は地の理を肌で知ってるだけや」
「ふ~ん、なんか私はよーわからへんけど、そんなもんなんかな…」
続けて涼平は紗綾に見せるように南東の方角を指差した。
「紗綾、あとな、あそこの山の奥にそこそこ開けた土地があるんやけど、その土地も全部、買ってしまえ!」
「えっ! なんでそんなことわかるん?」
「風や、風の吹き方でわかるんや」
それを聞き涼平の言ってることがほんとかどうか確かめたくなった紗綾は手に持っていたスマホで調べようとした。
「だめだ、圏外。田舎過ぎるー」
「そっか、まだこの日本にも圏外の村があるんやな」
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