31
「わかりました。京都の南丹市ってところの道の駅、6時ですね。ありがとございます」
刑事の石倉から情報が入ったタクは、すぐに惠介と仲間達を連れて京都に急行する。
◇ ◇ ◇ ◇
「はあ~ぁ~、めっちゃド田舎、山と川と田んぼしかないとこね~。えっと、たぶん、あそこの鉄板屋根の家だわ。そう、そこ左」
ナビをしていたアンナが指差した先には、茅葺き屋根を鉄板で覆い隠した古びた民家だった。もう少し時が進めば廃墟ともいえるボロ家だ。全員が車から降りると家全体を見渡した。
手入れされていない広い庭は、草がぼうぼうで、玄関までの通路がかろうじて見えるぐらい。敷地がどこからどこなのかもわからなくなっている。玄関の引き戸にはクモの巣があちらこちらに。コンクリーの床には、いつ死んだかわからないカナブンなどの昆虫が転がっている。
「確か寛太のおじさん、給湯器の下にあるブロックの中に鍵があるって言ってたわ」
三つ空いている穴の真ん中に鍵が入っていた。虫嫌いなアンナは、それを高槻に取ってもらう。
それを受け取ったアンナは、鍵を鍵穴に差し込もうとする。が、その時だった。草刈り機を持った老人が、しゃがれた声で話しかけてきた。
「おい、あんたら、みなれん顔やな。どっから来なすったんや?」
それに答えたのは善三だった。
「あぁ、ワシらは、寛太の知り合いでして。近くに寄ったついでに、その寛太から家を見てきてくれって頼まれたもんで」
「なに!? 寛太やと。あのごく潰し、まだ関西におんのんか?」
「えっ!? ごくつぶし?」
お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。




