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この頃、八坂警察署の窃盗課の速水は生活安全課に配属されている同期の石倉に昼飯を誘われていた。
速水はさきほど紗綾が相談した刑事。そして生活安全課の石倉は、なんと、紗綾の元彼氏の上司みたいな存在のタクと関係のある人物だ。
一向に紗綾の居所の手がかりつかめないタクは、手当たり次第に網を張っていた。そのひとつが、八坂警察署に勤める石倉という刑事だ。
元々、大阪の警察署で勤めていた石倉は諸々の事情で前々から転勤届けをだしていた。そうして今年の初めからこの八坂警察署で勤務をしだす。その石倉にもタクは、どのようなことでも紗綾のことがわかり次第、情報を流してもらうようにと頼んでいた。
それを気にかけていた石倉は、警察専用のパソコンに二条紗綾の名前を打ち込んだ。
そして浮かび上がったのが、引ったくり事件で盗まれた物がフリマアプリで転売されているという案件だった。その相談を受けた刑事がたまたま同期の速水だった。
ちょうど昼時だった。これは幸いと石倉は速水を、いきつけのそば屋に誘いだす。何も知らない速水は石倉との何気ない会話の中ですべてを話してしまう。
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