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「それよりアンナ、寛太のオッサンの実家の住所わかったんか?」


 ぶっきらぼうに涼平が尋ねると、タイミングよく──ピコンッ──と小さく鳴ったスマホにアンナが目を落とす。


「あっ来たわ。えっと、南丹市の◯◯町の鴨田大字5ー24番地だって。ちょっと待ってよ。この住所をコピーして地図アプリに入れてみるから──よしっ、出てきたわ。そうね、ここからだとだいたい1時間かからないぐらいかしら」


 それを聞き土地勘のある紗綾がつぶやいた。


「えっ!? こっから一時間って、かなり田舎の方じゃないかな」


「まあ、どうせ夕方まで時間があるんやし、行ってみようぜ」


 どうしても行きたい、いや、行かなければならないと思った涼平は皆を急き立てるようにタクシーの方へと歩いていった。


「せやな、俺もちょっとは興味あるし、こういうのもたまには悪くねーよな。よし、いくかっ!」


 そう言って、善三が重たそうな腰を上げた。


「ちょ、ちょっと待ってぇーや。まだ俺、食うてるんやって」


 あわてて口のなかにおかずと赤飯を詰め込んだ高槻は空の弁当箱を片付けだす。


「はあ~やれやれね。じゃあ紗綾ちゃん、そっち持って。このブルーシートは、またハウスを作るのに役に立つかもだから」


「はい。ほんとにアンナさん、ごめんなさい」


「だから、いいのよ。でも、当たりくじが無事に換金できたら……ねっ!」


 欲どおしそうにニッコリ笑ったアンナを、善三が瞬時に(いさ)めた。


「おい、アンナちゃん!」


「もう、わかったわよ。善三さんって変に生真面目なとこがあるんだからっ!」


 不服そうなアンナがブルーシートをトランクに入れると、全員がタクシーに乗り込んだ。


 そうして車は、低い山々が連なった方へと走り出した。

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