表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
214/312

25

 このとき藤木は、なぜこんなところに八雲が現れたのか、それに渦中の奴達と関係あるのかもわからずにいた。


 だが、何かの拍子(ひょうし)に藤木の直感が働いた。おそらく八雲は、あのオカマ達となんらかの関係がありそうだ。八雲と一緒にいた若い男も、もしかしたら……


 そんなことを考えながら、尾崎のチクチクとした嫌味を適当に受け流し、急に話題をかえた。


「尾崎さん、さっき言ってた八雲が目の前に現れたんですわ」


「なに!? 噂をすればなんとやらですか…」


「いや、ちょっと前ですわ。あの時と比べて髪の毛が薄くなってたんで気づかんかったんですが、さっき尾崎さんから八雲設備の話しを聞いて思い出したんですわ!」


「そうか、これは飛んで火に入る夏の虫になるかもしれませんね。では早速、わかってますよね?」


「もちろんですわ。奴がどっかに隠してる証拠書類を見つけたらいいんですね。ですが、もうとっくにあの件は時効を迎えてるのと違いますの?」


「そう、時効は成立してる。だがな、週刊誌やマスコミにリークされたら当時の大臣やらにも迷惑がかかるからな」


「そういえば、あのとき大臣やった人は、今は副首相になってますからね」


「藤木さん、もし彼が書類の在処を吐かなかないようでしたら、そのときは、いっそのこと……よろしいですね?」


「わかりました。あと今探している娘も例の物の在処を吐かなかったら……で、かまいませんか?」


「そうですね。いつまでも、その小娘にもかまってられませんからね」


 電話を切った藤木。奴等がいた場所に何か手がかりがないかを探しだす。目を閉じ、さきほどの八雲達の行動を思い返した。とたん、(ただ)ちに近くにいた部下の一人に話し、指示をだす。


「おい、ちょっと前に事務局から出てきたハゲのオッサンがおったやろ。そのオッサンが、あそこのゴミ箱に紙袋みたいなんをほってたのを見てたか?」


「へい、見てました」


「それを拾ってきてくれ」


 藤木は、即座に届いた紙袋に目を落とし、英語で印字されている文字を読みあげた。


「ん? コンレットベルヴューホテル??  ──なぜ作業服を着ていた八雲と若い男が、こんな高級ホテルの紙袋なんか持っとたんや……?」


「えっ、ボスなにか言いましたか?」


「いや、なんでもない」


 藤木はその紙袋を見つめ、しばし考え込んだ。

お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ