表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/312

13

「……だいちゃん!?」


「そう、大輔や! いや~久しぶり~紗綾、中学卒業して以来やもんな……でもなんで男の格好なんかしてるん? ──あっもしかして、今、騒がれてるLGBTとかいうやつ?」


「いや、そんなんとちゃうんよ。これにはちょっと訳があって…でも、だいちゃんこそ、店長だなんて立派になったね。それに比べて私は……」


「そんなええもんとちゃうって。前に、親父がスーパーしてるって言うたやろ。それがここのスーパーやねん」


「でもここのスーパーってあちこちにあるわよね」


「まあな、でも店長とは名ばかりで、今は修行中の身で、この店の売り上げを伸ばすように言われてるんや。けどな、うちみたいな中堅スーパーなんか、他の同じぐらいの規模のスーパーと一緒に商品を仕入れへんかったら、やっていけへんねんで。そうやって大量に発注して安く仕入れな大手のスーパーに負けてしまうんや。やっぱ安くせな売れへし、今の消費者はほんまシビアやからな。──あっそうそう、そんなパンなんか、この前もオーブンの調子がわるぅーて、焦がしてしもうて全部、破棄したんやで。せやから、1個ぐらいどうってことあらへん、気にせんでええで。それより紗綾、お金に困ってるんやったら、なんぼか貸そか? それにうちの店でもパートさん募集してるしな」


 と、言ってから大輔は紗綾が書いた紙を破って丸め、ゴミ箱に放り込んだ。


「そうなの…でも、こんなことしてごめんなさい」


「だから気にすんなって、それより紗綾の親父(おやじ)さんって、亡くなったんやなかったっけ? ──あっ、ゴメン…」


「うんうん大丈夫、この人は知り合いのおじさんなんよ、騙してゴメン……ちょっと色々、相談してもーてたら一緒に謝ってくれるって言ってくれて。──善三さん、すいません心配かけて」


 紗綾は善三に目をやり頭を下げた。


「なんや、そうやったんやな。でも紗綾は昔からオヤジにモテモテやったもんな。はっはは……けど紗綾、大手の橋爪リサーチって調査会社で働いてたんとちゃうんか?」


「えっ! なんで大ちゃん、そんなこと知ってんの?」


「うん、ちょっと風の噂で耳にしたことがあってな」


「そうなのね、でも、その会社は去年に辞めたんよ」


 このとき、この会話を聞いた善三がいぶかしげな顔つきにかわり、なにやら考え込んだ。

お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ