表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/312

7

 そんな折、アンナが早足で善三達を追い越した。


 おそらくアンナは気を利かし奴等の目を引こうとしているようだ。涼平もそんなアンナの後を追いかけていく。いつでも援護できるように紗綾と善三のすぐ前を歩いた。


 身長約190センチ。年齢不詳、ひときわ体格も良く目立つアンナ。服を着せたら余計に際立(きわだ)つ。本日のアンナの服装は前にフリルがついたショッキングピンクのブラウスにゼブラ模様のサムエルパンツ(ヨガパンツ)。


 鼻唄を歌いながら、きどった歩き方で橋を渡るアンナ。欄干にもたれかかっている男たちはそんなアンナに目を向けた。どこか馬鹿にするような(さげず)んだ目でアンナを追っている。その次の瞬間、アンナはこの上なく盛大に転んで見せた。


「あっいたっ! いや~ん。いった~い、もぅ、や~だ~」


 にやにやと笑みを浮かべる男達。その隙に善三と紗綾は橋を渡っていく。


 なかなか起き上がらないアンナ。このとき、はっと良い考えが浮かんだ涼平は、もっと彼らの目を引き付けようと、倒れた状態のアンナを踏みつけて歩いた。


「ちょっと、あんた! レディに失礼ね、何するのよ!」


「あっ、ごめんなさい。丸太ん棒だと思ってしまって」


「こんな派手な丸太ん棒がどこにあるのよ! 見たらわかるでしょ、見たら!!」


「なんや、おっちゃんおばさんちゃん、自分で派手やって自覚しとるんやな」


「キィー! 誰がおっちゃんおばちゃんじゃい!! このクソガキがっ!」


 急に男口調で怒りだすアンナ。


 そのとたん、一斉に笑い声が湧きあがった。指をさして笑うもの、腹を抱えて笑うもの、笑いの少ない彼らには格好の娯楽だったようだ。ショートコントのようなものを見せられた彼らは、しばし自分達の役目を忘れアンナと涼平のやりとりを、とことん見入ってしまう。

お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ