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3

「さあ、もうそろそろつくぞ。善三さん、どうする?」


「ほな、予定通り免許センターの手前で停めて、先に涼平に偵察に行ってもらおうか」


「わかりやした。あっ! ええ場所がありましたわ。あそこへ一旦、停めますわ」


 高槻が前方を指差すと、土手沿いのちょっとしたスペースにタクシーを停車させた。


「オッケー涼平君、ドアを開けるぞ」


 高槻の言葉を聞くなり涼平は、「合点承知!」と言って勢いよく飛び出した。


 ものすごいスピードで走っていった涼平は、あっという間に見えなくなった。


 数分後、ジャズの着信音が車内に鳴り響いた。


「はい、涼ちゃん、どうだった?」


「これはちょっとヤバいわ、アンナさん、思ったより、よーさんいてるみたいやで。とりあえず門のところに黒服とヤクザ風の奴等あわせて7人、免許センターの再発行の窓口付近に5人、んで、二階の踊場の窓のところで入り口を見張ってる奴等が2人いてる。後、他にも何人かの臭いがプンプンするんやけど、今のところどこにおるかわかれへんわ…」


「オッケー、ちょっと待ってね」


 すぐさまアンナはみんなに涼平から受けた報告をそのまま伝えた。


「そっか、やっぱり思ったとおりやな。どうする善三さん?」


 高槻が、後ろを振り向き善三に問いかけた。


「せやな、ここがあかんねんやったら区役所の方に行こうと思ってたけど、多分、区役所にもぎょーさんの人を張り込ましてるやろう。それやったら、人通りの多いこっちの方がまだええかもしれんな」


 確かに運転免許センターの方が、教習所に通っている生徒や免許の更新に訪れた人でごった返している。人の出入りが少ないであろう区役所よりかは遥かに良いかもしれない。


 だがしかし、相手もそれを踏まえた上での人数や配置も考えているのだろう。


 恵介とタクがタッグを組んで従えているスカウトマンやヤクザ達も数名うかがえる。それに、藤木の率いるメンバーもそれなりにいているのだが、その中には闇の業者のボスである藤木の姿も……


 この頃、藤木は尾崎からの再三の催促でかなり焦っていた。何の手懸かりもない藤木は、いてもたってもおられなかったようだ。

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