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「でも驚いたわよねー、チェックアウトしたとき、あと2週間もあんな豪華な部屋を予約してたなんて。紗綾ちゃん、涼ちゃん、おかあさんからなにか聞いてた?」
「そういえば、換金するまでここでゆっくりしとくのもよしって言ってましたっけ」
「なんや、宿泊はあそこのホテルのオーナーからの御礼やって言うてたぞ。何の御礼か知らんけど…」
紗綾に続き涼平が口を開いた。
「あっ、そうだ! そういえば、近々あのホテル、かなり破格の値段で売りに出そうとしてるらしいわよ。なんでもコロナ渦であまり売り上げが芳しくなかったから本土のオーナーが整理しようとしてるんだって、同級生が言ってたわ……あぁ~だから、海外から、わざわざ日本に出張って来たのね。なるぼど~。昨日、おかあさんがあのホテルのオーナーと会ってたってゆうのも、それと何か関係あるのかしらね…?」
一人で話し、一人で納得したアンナは誰に聞く訳でもなし、一人で様々な憶測を立てようとする。
昨晩、アンナは総支配人のまさるから、ある程度の事情を聞いていた。だが、およねが紗綾にあのホテルを買うようにすすめた話しは紗綾と涼平しか知らなかった。
紗綾はこのとき、昨日のおよねとのやり取りを言うか言わまいか迷っていた。でも、当たりくじを換金できていない今、先のことを言っても鬼が笑うだけ。それに、もし換金できたとしても、あんな大きな高級ホテル、買う気などさらさらなかった。
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