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そのようなとき、再びドアのチャイムが鳴ると同時にノック音がした。
アンナがすぐにドアを開けると、ルームサービスを持ってきた好青年のボーイが立っていた。その傍らにはボーイが押してきたであろうサービスワゴンが置かれている。ホテルの制服をきちっと着こなした好青年は真っ白な布ナプキンを片手にお辞儀をして挨拶をした。
「おはようございます。ルームサービスをお持ちいたしました」
「あら~可愛い男の子、う~ん、ストラ~イクゥ♪」
案の定、好青年を見るなりアンナの訳のわからない言葉が炸裂する。存在だけでもセクハラなのに、ハエ取り草のような瞼を目一杯開け、見定めるように上から下まで舐めまわす。特に好青年は目の肥やしになるようだ。
そんなアンナの視線を浴びたボーイは、思わずひるんでしまう。が、すぐさま何事もなかったように、「失礼します」と、言って部屋の中に入り朝食の用意をし始めた。
アンナと紗綾の朝食は、コンチネンタルブレックファーストという名称の洋食。サラダと卵料理とカリカリベーコンにパンとスープとジュース。
パンはモーニングロールなどの5種類。 ルームサービスで届いたパンなのにカリカリサクサクのクロワッサンやバケットなどなど。ジャムはマーマレードにストロベリー、ワイルドストロベリーの3種にバターとピーナッツバターがついていた。
サイズ大きめのオムレツはふわとろ。おまけに卵が濃厚ときている。 サラダには和風とサウザーのドレッシングが2種類が付いていた。
オレンジジュースとリンゴジュースは氷が一杯のクーラーに入っており、いつも冷えたまま。もちろん食後のコーヒーも用意されている。
お次は善三の朝御飯。アンナが気を利かせ和朝食にしたようだ。
大きなテーブルには、お造りや炊き合わせ、ちりめん山椒煮、明太子、焼魚、出し巻卵、小鉢の5種類、焼海苔、赤出汁、香の物、水羊羹など、どれも美味しそうなおかずがたくさん並べられた。ご飯はお粥も選べるらしい。
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