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「へ!? どういうことですか?」
およねは紗綾に1枚の名刺を差し出して話を続けた。
「だから、さっき言うたやろ。みずお銀行のお偉いさんにお前のことを相談したって。ここに当たりくじを持って来てくれたら、すぐに対応しますって言うてくれたわ。あっせやせや、なんや身分証明書と印鑑と連絡先は必要らしいけどな」
その名刺を目をやると、みずお銀行、副頭取と書かれているではないか。紗綾は驚きと共に声をあげた。
「まじでか!……あっ、いや、そうなんですか。──でも、今の私には携帯電話もなければ、身分証とかもどっかに失ってしまって……」
「そんなもん、なんぼでも再発行できるやろ。ほれ、これを使え」
次におよねが差し出したのは、茶封筒だった。
「これは?」
「金がないとなんも始まらん。明日にでも京都に帰ってすることをしてきな」
封筒の中を覗くと中には一万円札が50枚ほど入っていた。
「こんなに!」
「いちから携帯電話を買わなあかんねんやろ? まあ、いくらするか知らんが、換金できたら返してくれたらええ」
「あ、ありがとうございます。換金できたら利子をつけて必ず返します」
「利子はいらん。ただ、まだまだおまえの当たりくじを狙う輩がおるからのぉ。涼平、紗綾のボデーガードをしてやってくれるか?」
「ああ、もちろんそのつもりや」
「ふむ、殊勝な心がけじゃ。それとアンナバネッサと善三もボデーガードで連れていけ。奴らも何かと役に立つからの」
「でも、当たりくじのことをアンナさん達に知られたら…」
「心配ない、わしがちゃんと言い聞かしておく。あと、電車では色々と目につくから、ゴリ男のタクシーを使え。奴にもちゃんと知らせておくからの。あと紗綾、ことが上手く運んだら皆に手当てをはずんでやってくれよ」
「はい、それはもちろん」
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