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「おい、おまえら! 人の前で、いつまで思い出話に花咲かしとんのんじぁ!」
いつまでも再会を懐かしむアンナと総支配人のまさるに、およねはいい加減しびれを切らした。
「すいません、およねさん」「あら、ごめんなさい、おかあさん」
「かまへんが…せやけど、そんなに話がつきひんねんやったら、下のラウンジにでも行ってこい」
「いやいやいや~、僕はおよねさんと…」
またしても、まさるがおよねに近づこうとすると、およねが一喝する。
「だから、暑苦しいって、おまえは! 早く2人で行ってこい。わしは、これからあの2人と話があるんや」
とたん、およねが、アンナと一緒にダイニングルームに入ってきた紗綾と涼平を見る。と、この上ないうっとうしげな表情を浮かべ、再びまさる達に向き直した。その顔を見たまさるとアンナはしぶしぶ部屋から出て行った。
「ほんまに、面倒くさい奴らや。──涼平、紗綾、ちょっとこっちへ来い」
「なんや、およねさん」「はい……」
そう言って、およねに近づく2人。次いで、およねは紗綾に問いかけた。
「紗綾、すき焼き旨かったか?」
「あっ、そうだ。ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「そうか、それなら良かった。実はな、今日ここに呼んだのは、たまたま《《みずお》》銀行のお偉いさんと話す機会があったから、おまえさんのことを相談してみたんじゃ」
「へっ?」
およねが紗綾の顔をしげしげと見つめた。と、紗綾はすっとんきょうな表情を浮かべ目をしばたたかせた。
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