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やがて、善三は債権者に追われ続けることになる。破産申請を出すことも考えたが、残りわずかな金を弁護士の支払いにあててまで、家族に苦労をかけたくないと思ったのだ。が、このまま、自分が家族と暮らせば、いずれ迷惑がかかるのはわかっていた。
そう考えた善三は、残りの金を嫁に渡し家を出たのだ。
その後、善三はリフォームの訪問販売の会社などを転々とし、最終的には西成のあいりん地区にたどりついたというわけだ。
娘が部屋から出た後、善三はベッドに横たわり、先のことを真剣に考えだした。
すべてを失ってからというもの、なにもやる気が起こらなかった善三は、将来のことを前向きに考えだそうとしていた。
しかし、住所もなければ保証人もいない。ホームレスまで陥った自分を雇ってくれる会社なんてまず存在しないだろう。でももしかしたら何か良い方法があるかもしれない。
久しぶりの心地好いベッドの上で、あれこれ考えているうちに いつのまにか深い眠りについてしまったようだ。
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