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 ダブルの客室で、ぽつんと1人になった善三は、やり場のない思いを噛みしめ項垂(うなだ)れた。


 情けない。なぜ人生は、こうも上手くいかないのか。


 会社を立ち上げた当初はやる気に満ち溢れ、飛ぶ鳥を落とす勢いで会社を急成長させたのだけれど、どうしてここまで落ちぶれたものか……


 約30数年前、善三が起こした会社は、通信会社の下請けの設備工事会社だった。元々は、親の代から受け継いだ建設会社だったが、新たな事業を立ち上げたのだ。


 主に、携帯電話のアンテナ(基地局)を近畿地方のあちらこちらに建設することやメンテナンスが仕事だった。当時は、携帯電話が世の中に普及しようとしている時期だった。もともとは、一部の金持ちが、お弁当箱ぐらいの大きさの携帯電話を持ち歩いていたが、価格がおさえられたと共に小型化し、一般庶民にも広く普及しようとしていた。そのような時代だった。


 時の勢いにのっていた善三の会社。だが、それから10年後、ある日を境に元請けである大手通信会社から仕事がピタリとまわってこなくなった。


 というのも、ライバル会社である工事会社が、ある省庁の役人に賄賂を渡したのが原因だった。そして、その役人が善三の会社の元請けである大手通信会社に圧力をかけた。よくある話だが、ある省庁の役人は、賄賂(わいろ)をくれた会社に便宜(べんぎ)を図ったのだ。

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