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「誰か!! ドロボー! ──あ、いたたた」
紗綾は地面に手をついたまま動けない。足を捻ったらしく、立てないのだ。
すると、中から店員が現れた。
「大丈夫ですか?」
「わ、私は大丈夫。それより早く警察を!」
顔はよく見えなかった。でも、後ろ姿を見る限りでは恵介ではなかった。
(あ─もう! なんでいつもいつも私には邪魔ばっかり入るのよ。あのカバンの中には、なけなしの全財産とパソコンとスマホ、身分証明書が入ってたのに…)
悔しくて情けなくて涙を流す紗綾は、無意識にお腹に手をあてた。お腹にくくりつけてあるパンストの中の宝くじを確認したのだ。
(はあ~。ここに入れておいてほんとに良かった。この宝くじだけあれば、なんとかなるわ。きっと……でも、換金するまであと13日、どうやって乗り切ろう…それに確か換金するときに身分証明書がいるんだったわ)
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