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4.

 4人を乗せた高級車があいりんち地区を駆け抜けていく。たいした数の街灯もなく、薄暗い通りをゆっくりとゆっくりと走らせる。運転手も心持ち警戒しているのだろう。この地区には、当たり屋を生業(なりわい)としている者達が存在していることを。


 その上、未だに何組かの人相の悪い奴等が徒党を組んで歩きまわっている。そのなかには、昼間ぼろアパート周辺で見かけた男達もちらほらとうかがえる。


 だが、さすがに昼間見た、青空の下で散髪している人や靴を片方だけ売っている人、タバコをバラ売りしている人達などは、いなくなっている。


 ほんとうにここは日本じゃないみたい。そんなことを思いながら紗綾は、なぜおよねに呼ばれたのか、およねとは何者なのかを考えだす。それも、5つ星の高級ホテルへ、こんな高級車まで用意して。昼間はお乞食さんをしていたのに……およねさんが霊的なことが視えたり聞こえたりするのは本当なんだろうか……一時は信用したけれど、またしても疑問が頭をよぎる。ただのお節介焼きなお婆さんではなさそうなんだけど……かといって、私の当たりくじを狙うような悪い人ではなさそうだし……そんな不安のつきない紗綾の一番の疑問はやはり亡くなった父親のことをどうしておよねが知っていたのか、それも父の亡くなった死因までもを。それに加え、当たりくじのこと、その当たりくじの隠し場所まで知っていたのも腑に落ちなかった。


 確かにおよねが人智を越えているのは、理解した。けれど、およねのことを信じだしている自分もどうかしているかもしれない。だが、およねが助けてくれたからこそ今の自分がある。およねのことは大半は信じているが、まだ頭の中で葛藤を繰り返す紗綾。およねのことを信じれると思っている裏では本当に信じても大丈夫なんだろうかと。まったくもって脳が追いつけていなかった。

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