ターゲット
マンションのエントランスからものすごいスピードで飛び出した。
案の定、後ろからの足音を聞こえてきた。紗綾が思いきって振り返って見ると、後ろから恵介が鬼のような形相で追いかけてくる。
やっぱり待ち伏せしていたのかと、紗綾は恵介の執念深さに呆れつつスピードを上げた。
恵介も必死に走るが、さすがに元陸上部にはかなわないといった面持ちで、息を激しく切らしながら追いかけるのをあきらめた。
(ざまあみろ! これ以上しつこく、つきまとうなら警察に通報するしてやるんだから)
だがこの時、はっと携帯が止まっていることを思い出した。
やはり先に携帯を繋げなければ……でも電気もガスも大事。どれに優先順位をつけなければならないのか。だが、どれもライフラインだ。順序などつけれない。あれこれ考えているうちに、パソコンのハード危機やゲームソフト、ゲーム機器などの買い取りもしている販売店に到着した。
(よし、できるだけ高値で買ってもらおう。ごめんね愛しのパソコンちゃん)
まだ購入して一年と経っていないが愛着があった。自分仕様に中身をバージョンアップしていたし、兼ねてから欲しかった型だったからだ。
(今はしかたない。背に腹はかえられないわ。宝くじを換金したあと、まだ誰にも買われていないようなら私が買いにくるからね)
手に持っているパソコンに申し訳ないと感じながら、店のドアの前に立った。が、その時だった。
紗綾の背後から何かが体当たりしてきたかと思うと背中に強烈な激痛が走った。
「あ、いたたた」
何が起こったのかまったく呑み込めないまま、紗綾はその場に倒れ込んだ。だが次の瞬間、ノート型パソコンが入っているケースや財布などを入れていた大きめのカバンが引ったくられたことに気づいた。
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