13.
(えっ!? え、え──! なに? なんなの? もしかして、およねさんって霊脳者だったの??)
紗綾は驚きのあまり、開いた口が塞がらなかった。そんな紗綾を横目に、およねは話しを続けた。
「心配すんな。そのことは信用できる奴にしか言わへん。それにわしゃ、お前の金をあてにせずとも、十分に食っていける。だから安心せぇ」
「…は、はい」
それを聞いて少し安堵する紗綾。
(でも、およねさんって一体何者なんだろう? なんでこんなに私のことを知っているんだろう。やっぱ亡くなったパパから聞いてるのかな。言ってること全部当たってるし。ほんとうに信じても大丈夫なの……でも、パパがいつも私のことを守ってくれてたのは、なんとなく感じてた。すごく嬉しい、ありがとうパパ)
身近に感じる父の存在に胸を熱くした紗綾は、およねの言うことを素直に受け入れようとする。
「ところで梅子、今日はゴリ男のところで泊めてもらえ。わしの部屋は、奴等の目が光っているからの。──もうこの時間なら、ゴリ男の嫁の多栄子がパートから帰って来てるはずやから」
「えっ!? いいんですか?」
「別に、無理にとは言わん。嫌なら、その辺で寝るのもお前の自由や」
「いえ、そんな…」
今の紗綾には色々なことを考えるほどの余裕はなかった。行くあてもなし。あと6日、取り敢えず、なにがなんでもやり過ごさなければならなかった。惠介達に捕まっては元も子もない。かといって、警察に保護を求めるのも憚れる。前の仕事でした不正行為や万引きが頭をよぎったからだ。
しかる後、紗綾はおよねの温情にすがることにした。
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