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11.

「さあ、そろそろ帰ろうかの」


「はい」


 やっと終わった。終わってみると、あっという間の出来事だった。何気に新聞紙を畳みだそうとする紗綾におよねが問いかけた。


「梅子、どうやった?」


「はい、確かにおよねさんが言う通り人の本性が見れたような気がしました」


「ふむ。金を入れてくれた人間はどうやった?」


「ほんとに良い人達でしたね」


「いやそうじゃなしに、金持ちそうやったか?」


「いえ、どちらかというとあまりお金は持ってなさそうでした」


「そうや、そんなもんなんや。逆にやつしてる奴らは、見向きもせんかったやろ?」


「ん? やつしてる奴ら??」


「着飾ってる奴のことや」


「あぁ、そう言われれば、そうでしたね」


 不思議なもので、およねの言うことにはすべてにおいて狂いはなかった。

(もしかすると、およねさんは私にこのことを教えたかったのかも知れない)


 そんなことを思っていたら、およねが突拍子もないことをしゃべりだす。


「お前は、これから莫大な金を手に入れるやろう。でもな、金っちゅうもんは人を見るんや。人と世の中の流れを見抜けへん奴の元へは、金は(とど)まらへんようになってるんやで」


 それを聞いた紗綾は、驚きのあまり固まった。全身をショットガンで撃ち抜かれたようだった。


(どうして、およねさんがそのことを知ってるの? ありえない。なんで? なんで?)


 疑問でいっぱいの紗綾の頭は、いまにもフリーズしそうになっていた。そんな折り、またしてもおよねの梅干しのような口が開く。


「そんなに驚くことやない。おまえの父親からなんもかんも聞いているんや。その上で、おまえを助けてやって欲しいと頼まれたんや」


「……」


 余計に言葉が出てこない。何を言い出すんだろう。ちょっとの間、足の痺れも合わさって動けない紗綾はおよねの顔をまじまじと見据えた。


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