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 年寄り姿の紗綾。杖のつき方も、腰の曲がり具合も様になっている。もしも彼らに見つかれば、どんなことをされるかわからない。紗綾は全力で年寄りになりきった。


 いつなんどき誰に見られているかわからない。50億もの当たりくじを狙っている奴等に見つかれば、それこそ一貫の終わり。そのことは紗綾が一番心得ている。特に、惠介達に見つかれば虫けらのように扱われるだろう。極悪非道の奴等にとって、自分の命なんてちっぽけなもの。今現在も、当たりくじを血眼(ちまなこ)になって探しまくっているのが、目に浮かぶ。


 ああ、どうして、あんな男と付き合ってしまったのだろう。つくづく男の見る目のなさに嫌気がさす。だけれども、さっき私を助けてくれた人達。どうして、初めて会った私にそこまでしてくれるのだろう。目の前のおよねさんにしても、本当に感謝しかない。でも、これからどんな仕事をさせられんだろうかと思うと、気もそぞろ平常ではいられなかった。


 奴等には見つかりたくない。それに、およねさんがいう仕事もあまり気が進まない。


 かといって、京都に戻っても食べることに事欠ことかくのはわかっている。あぁ~、あと6日、なんとか(しの)がないと……それに、京都までの片道切符と、身分証明書を再発行する手数料、印鑑を買うお金。早くなんとかしなければ。でも、お風呂場の椅子の脚に入れた当たりくじは、果たして大丈夫なのだろうか。


 悩みと不安がつきない紗綾は、腰を曲げ下を向きながら、一人ではどうにもならないことに憂鬱な心持ちになっていた。

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