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「そうなのね。──わかったわ、じゃあどうぞ。あなた達の気の済むまで探してきてちょうだい」
アンナはそう言うと、サバイバルナイフに持ち変えた男の耳元に顔を近づけ、蹴りを入れたお腹を優しくさすりながら謝った。
「さっきは、ごめんなさいね。悪気はなかったのよ。ここが痛かったでしょ、ねぇ、大丈夫? 痛む?」
それを聞いた男は後退りし、気持ち悪そうななんとも言えない顔を浮かべた。そこへ、遠藤がもう一度よれよれの服を着たじぃさんに尋ねた。
「じぃさん、ほんまにこの部屋で間違いないんやな?」
「は、はい。間違いないしゅ。かくがおよねっちゅう婆しゃんの部屋でちゅ。写真の女もいっちょに……」
まったく覇気のないお爺さんは震えた弱声を発しながら、およねの部屋の扉を見て何度も頷いた。
「よし、栗林、開けろ」
遠藤は、隣に立っていた部下に顎をしゃくる。そうして、栗林が取っ手に手を触れようとしたときだった。
隣の隣の部屋から扉が開く音がした。皆の視線がいっせいに、音がした方に集まる。ライト付の警棒で奥を照らす男達。
奥の部屋から出てきたのは、二人の老婆だった。一人はおよね、もう一人は白髪のおかっぱ頭、紫のチュニックを着た高齢女性だ。およね同様、少し腰が曲がっており、半透明色の雨合羽を羽織っている。
そして、開口一番、およねが男達を杖で指した。
「なんだい、なんだい、おまえら雁首揃えて、何のようだい!?」
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