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 黒服の男達はひときわ大きな男女(おとこおんな)を見て驚愕する。だが、そんな男達に、お構いなしで喋り続けるアンナ。鼻声気味の甲高い声音は彼女の特徴だ。


「ちょっと、あんた達、何かたまってるのよ。そんなに私の美貌に見惚れてるのかしら。オ~ホホホホ」


「ふざけたオカマや。──おい、おまえも怪我しとぉーなかったらさっさと、そこをどかんかぇ! なに、ちゃちゃを入れにきとんねん!」


「ちょっと、あなた聞き捨てならないわね。今、オカマと言ったでしょ!? このドラッグクィーンの女王を目指す、わたくしに向かって下品な言葉は許さないわよ!」


「ぁ~あん? オカマにオカマって言うて何が悪いねん。このオカマがっ!」


 男がそう言うと、警棒を振り回し威嚇しながらお構いなしに歩を進めた。寸刻前、先程の密告した頬のこけた老人が、およねの住んでいる部屋を遠藤に教えた。それゆえに、すぐにでもその部屋の探索を始めたかったよう。だが、アンナは近づいてくる男達を、「ハァ~、ホッ、ホッ、ホイヤッ!」と、口から気合いを(ほとばし)りながら、長い足で順々に蹴り飛ばしていった。


 つま先で蹴るトーキックから(かかと)落とし、まわし蹴りから素早くもう片方の足に体重移動させて後ろまわし蹴りと。狭い通路で足芸を披露するアンナは、男達の急所を寸分たりとも狂わさずヒットさせていった。時には勢いあまって、通路の壁をぶち破ることも。それを見ていた黒服の男の一人が遠藤につぶやいた。


「部長、こいつは一昔前に世界大会に出てたテコンドーの岡馬太一(おかばたいち)とちゃいますやろうか!? せやけど、なんでこんなとこでオカマになっとるんしょ?」

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