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そう言ってから、ヤクザ達は、この場から離れた。が、高齢男性の目撃情報の言葉が気になっていた。わからないように数名を残し、遠目から様子を伺うことにしたようだ。
闇の業者の遠藤達はヤクザ達が去ったのを確認すると、すぐにアパートに入っていく。
「じぃさん、その女がどの部屋に入っていったか、わかるか?」
「はい、たびんでちゅが、およにゃとか言うばぁちゃんと一緒に入って行っちゃんのを見ちゃんで、106号室やと思うでや。──えっと、とれと旦那…謝礼金の方なんてちゅが……」
「そうか。よう教えてくれた。──ほんまに探してる女がその部屋におったら、きっちり謝礼金を渡してやるから、ちょっと待っとけ」
「あい…」
高齢男性は、嬉しそうにニタニタと笑顔を浮かべた。さっそく、遠藤達は106号室へと急いで向かった。だが、そこへ立ちはだかる者達が。涼平達だ。
彼らは、黒づくめの男達が入ってきたのを見るなり、すぐに戦闘体制に入った。
紗綾がアンナに連れられて、二軒隣のアンナの部屋に入ってから、からこれ約40分。涼平達はアンナから最低でも1時間は時間を稼いで欲しいと云われていた。
「なんや、お前らは?」
ずかずかと自分の家のように中へと入ってくる男達を見て、涼平が冷ややかな言葉を放った。
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