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「おい、何があったんや!?」


 先ほどの二人組のヤクザの仲間が血相を変えて駆けつけて来た。ざっと数えても十人ぐらいはいてそうだ。


「それがな、えげつのぉー身体能力に長けたガキがおって、そいつがわしらのすることを邪魔しようとしてきたんや」


「それに、他にも刃物を持った奴もおったんですわ」


 もう一人の男も、興奮した面持ちで口を動かした。


「そうか、このアパートにおるんやな?」


 ぼろアパートを指差したのは、かなり屈強そうな男だった。がたいのよい身体、骨格がしっかりしてそうなホームベース型の輪郭。拳には盛り上がったたこ(・・)が指の数だけ見てとれる。その男が鋭い視線でアパートの方を一瞥する。


「そうですわ、ここにそいつらが…」


「よっしゃわかった。どんなやつであれ、わしらの邪魔をする奴は焼きを入れとかなあかん」


 屈強そうな男がそう言って、アパートの中へ、足を踏み入れようとしたときだった。


 男達が駆け寄って来た反対側の道から、紗綾の居場所を通報した、このアパートの住人と遠藤が仲間を引き連れて走ってきた。

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