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──バンッ!! ──
突如、建物が揺れたと同時に大きな音がした。もう一人の男が目一杯、足を上げドアを蹴破ったのだ。木の骨組みにぺらぺらの木目調の化粧板を貼り付けただけの粗末な扉。おまけに簡易な錠前。吹けば飛びそうな、その扉は無惨にも蝶番から外れ、バタンと床に倒れた。
無数の埃が舞う倒れ落ちた扉の付近。その扉を、ずかずかと踏みつけながら中に入っていく男達。先頭の1人が埃を払うように手を左右に動かして声をだした。
「あかん、この部屋は誰もおらんわ。次や、次」
「わかりやした」
ここから五つ目が、およねの部屋、七つ目がアンナの部屋だ。ノックをするのを止めた男達は、順々に部屋のドアを蹴破っていこうとする。
その光景を唖然として見ていた涼平と寛太、善三、幸司は、怒りが込み上げる。すると、涼平が男達を睨みつけながら語気を荒げた。
「おい! おっさん、ええ年こいて何やっとんねん! 勝手に人に家の扉を壊しやがって!」
「ぁ~あ~ん。いっちょまえにグラサンかけやがって、クソガキが、まだおったんか。文句あんねんやったらかかってこんかい」
挑発する男は、眉間に皺を寄せ威圧感を漂わす。だが、次の瞬間、涼平は臆することなく、その男に飛びかかった。まるで、獣の跳躍。3メートル以上は離れているというのに、軽く屈伸したかと思うと、あっという間に男の頭上まで飛び跳ねた。そうして、男のおでこを踵で蹴り上げると宙返りして着地した。
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