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二人の男達が、アパートの入り口付近にある部屋のドアを叩きながら、喚きたてている。
「おい! はよあけんかい! ほんまにこのドア壊してまうぞ!」
涼平がそんな彼らに近づいていき、諌める言葉を放った。
「おい、おっさんら。そんな大きな声だしたら近所迷惑やろ! もっと静かにせーや!」
「なにを! 糞ガキがっ! おまえ、俺らに喧嘩売っとんのんか!?」
「売るんやなしに、わざわざ買いにきたったんや」
「こいつ、しょーもない屁理屈ばっかり抜かしやがって」
そう言うと男は涼平の間近まできて、威圧感を漂わせながら凄みを見せた。
だが、こんなガキを相手する暇はないと言わんばかりに、男はズボンの後ろポケットから一枚の写真を取り出した。
「おい、ガキ。この女を、めぇへんかったか?」
「さあな。女、探してるんやったら飛田にでも行ったらええんとちゃうか?」
「ダボが、女を買いにきたんとちゃうわ。──まあ、ええ」
男はそう言うと踵を返し、もう一人の男に「はよー、一軒、一軒見てまわらなあかんし、もう、面倒くせぇーから、四の五の言わんと扉を蹴破っていこか」
「わかりやした」
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