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「おい! おまえ、この写真の女を見ぃひんかったか?」
「いきなり人の家に入ってきて…なんなんや、おまえらは!?」
「はあ~ぁ、これが家ってか? ふっ、おっさん、アホも休み休み言えや。この乞食がっ!」
そう言って、恵介が形振り構わず段ボールでできた壁を蹴り飛ばした。すると、あっけなく段ボールハウスが傾いた。
「なにするねん!」
「おい、おっさん! この女を庇いだてすると、ためにならへんぞ」
恵介は、藤木が率いる闇の業者の奴等と同じようにどこからか見つけ出したナイフを片手に脅しをかけた。見知らぬホームレスに殺気だつ惠介。その鬼気迫るような殺気は凄まじいものがあった。なにがなんでも、紗綾を見つけ出し50億の当たりくじの在処を聞きだしたかったのは言うまでもない。
片や、ぼろアパートでは、タクから依頼を受けたヤクザ達が、ただならなぬ表情で、一部屋、一部屋の中に入り紗綾を探して出そうとしていた。先ず彼らは、アパートの入り口近くにある部屋を拳で力強くノックしだす。
──ゴン、ゴン、ゴン、ゴン──
「おい誰がおるか? 開けへんねんやったら、このドア蹴破るぞ! ええんやなっ!?」
この辺りにもシマがある銀龍会。組員を総動員して、あいりん地区一帯を探し回っている。それもそのはず、真っ先に女を見つけたものには五百万円の報酬が支払われるのだから、誰も彼もが、しゃにむになっていた。もちろん銀龍会には成功者報酬として数千万単位の金が入ることなっている。
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