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「うわぁ~、意外と美味しい!」


 失言だった。しまったと思った紗綾は割り箸を持ったまま口に手をあてた。


「はっはは。意外は余計やで紗綾ちゃん」


 善三が、笑いながら紗綾を(たしな)めた。


「す、すいません」


「まあ、無理もあらへんがな。京都のお嬢さんがこんな、掃き溜めみたいなとこに連れてこられて、おまけに訳のわからん刺身を食べさせられてんねんからな。はっはは」


 次に口を挟んだのは、後ろにいた中年男性だった。彼も労働者風の成りをしており顔が真っ黒に日焼けしていた。


「さあや、こいつは、幸司(こうじ)や。そんで、その隣が幸司の馴れ合いのみゆきや。幸司、みゆき、紗綾をよろしくな」


 およねが、矢継ぎ早に後ろにいた二人を紹介する。と、幸司とみゆきが優しげな面持ちで軽く会釈した。


「こちもよろしくお願いします」


 紗綾もペコリと頭を下げ、申し訳なさそうな顔を浮かべた。


 そのような時、ぼろアパートの通路から複数の男達の声が聞こえてきた。


「おい、このアパートは俺達が……おまえらは、あっちの建物を探してくれ」


「おぉ、わかった」


 タクに依頼を受けたヤクザ達やスカウトマン達が、このあいりん地区一体をローラー作戦で、探し回っていたのだ。

 

 一方、なかなか見つけ出せないことに焦りを感じていた恵介やタクは、他のスカウトマン達を従えて、気が狂ったように段ボールハウスを破壊しながら紗綾を見つけ出そうと躍起になっていた。

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