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黄道を刻む二十四の時の詩

光注いで 泉は満ちて

作者: 日浦海里

薄曇りの空の隙間から

きらきらと光の帯が差し込んでいる


あの人の祈りが

地に温もりを与えて

穂と葉に触れた雫に輝きを与えて

地の下で眠っていた生命たちが皆

空の下で躍動しているようで


照らされた光の舞台の下を

つむじ風のように舞う少女


空いっぱいに葉を広げた

生命たちの成長を

祝うように

支えるように

伸びやかに

まっすぐに


両手を伸ばし

力強く


跳ねて

飛んで


浮かべる表情も

跳ねているようで


眩しすぎるその姿を

羨むように見つめながら


あの人の祈りが緩やかに届くよう

風に乗って

雲に乗って


あと少しだけ

見守っている


これからは

誰もが力強く生きる

暑くて激しい夏がくる

今日は小満


地上には多くの動植物が姿を見せ、命が満ち満ちる季節です。

厳しい暑さと激しい雷雨が続く夏を前に

過ごしやすさを感じられる最後の期間のようにも思います。


【登場人物紹介】

○陽ざしの君

 太陽です。

 生命を包み込む優しさと

 生命が生きていくために必要な温もりの力を持ちながら、

 全ての生命にその力を届けることが出来ないことと、

 その力のために生命を苦しめる事があることを

 不甲斐なく思っています。


 遠くに届けようとすれば、近くを傷つけ、

 近くを傷つけぬようにすれば、遠くには届かず。

 そして、その力を制御できるかと言えば、

 思い通りにもならず。


 季節の大半を雲に覆われた空の下で過ごす冬姫は、

 彼の優しさの一面だけしか知りません。


○春姫/秋姫

 春姫であり、秋姫。

 彼女自身は温度を操る力をは持ちません。

 彼女はただ、世界に水を与えることが出来るだけです。

 雪解けの水が正しく流れるよう、

 世界を熱する力が訪れる前に、世界が潤うよう、

 雨を降らせる事が出来る。


 彼女自身が温もりを持たないために、

 陽ざしの君の事も冬姫の事も、そして夏姫の事も、

 冷静な立場で眺めることが出来ます。


 彼らが皆、一様にして生命を慈しみたいと思いながら、

 思い通りにいかないことを悩んでいることを知り、

 彼女はただ、その心が乾かないように、

 潤いを与えたい、そう願っています。


 いつもどこかで一歩引いて物事を見つめているからこそ

 この世に起きる物事すべてに飛び込んで

 その全てを受け入れて楽しむ夏姫のことを羨ましく思っています。


○夏姫

 空から照りつける光を熱と命に代える力を持ちます。

 陽射しの君や冬姫同様、

 自らに与えられた力を制御することは出来ません。

 その力は多くの命を育てることができますが

 時にその力が過剰となって、命を奪うこともあります。

 どうにかしたいと願ってもどうしようもない現状ならば

 少しでも今を受け入れていきたいと

 その一瞬一瞬を楽しもうとしているのが彼女です。

 誰かのためではないけれど

 みんなのために、と願いながら、

 彼女は今も踊り続けています。

 

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