学院 2
「と、トール!?」
「お前は昔から我慢ばかりだな…」
「我慢なんて…」
「ガーランドとの婚約の話は父上の耳にも入っている。昨日、俺も聞いたからな。」
「トール、知っていたの…?」
「ああ。ただ、昨日の段階では婚約が決まりそう。ってことだけだった。
そしてエイミー、この件についてはもう伯爵家だけの問題ではないんだ。」
「どういうこと?」
「詳しくは言えない…。」
「どうして!?私は当事者なのに…」
「それでも、不確定な発言をすることはできない…。ただ、解決は早いはずだ。そして、恐らくはもう少しすれば…」
「エイミー!!」
入口の方へ視線を向けると必死な表情のジャックがいた。
「ジャック!?どうして学院に…」
「そんなことはどうでもいい。それよりトール、何故エイミーを抱きしめているのか説明しろ!」
エイミーをトールから離してジャックはトールを睨みつけた。
「ジャック、怒るなよ。」
「お前なっ!?」
「さっき、ガーランドの奴に遭遇してエイミーが手を握られたから、拭いていたんだよ。
そしたらエイミーが泣きそうだったから、従兄として抱きしめただけだよ。可愛い妹を想ってのことさ。
しかし、相変わらず心が狭いなー。留学してる間に丸くなるかと思ったのに。
俺はお前とは違うし。」
「ちっ!トール、お前は先に帰れ。エイミーには俺が事情を説明しながら、うちの馬車でエヴァンス邸へ向かうから。前侯爵閣下の許可は取り付けてある。」
「じゃあ、先に帰っているよ。
ジャック、これ以上エイミーを泣かせたら許さないからな!エイミー、また後でな。」
トールは教室を出ていき、エイミーとジャックが残された。
「ジャック、どうして学院に?」
「ん?君を迎えにだよ。」
「どうして?」
「今日はいろいろとあるから、サーフロー邸にはエヴァンス侯爵の許可があるまでは行かないつもりだよ。それに俺は君を離すつもりはないし。
さっ!行こうか?」
ジャックはエイミーの手を引き、自分が乗ってきた馬車へ歩きだした。
「ねえジャック…」
「どうした?」
「手は…恥ずかしいよ…」
「そう?昔はよく手を繋いだだろ?」
「そ、それは小さい頃の話であって…」
「エイミーは、俺と手を繋ぐの嫌…か?」
ジャックはエイミーの顔を覗き込んだ。
「ズルいわ…私が断れないの分かって言ってるでしょ…?」
「そんなことはないよ。ただ、トールは抱きしめてよくて、俺とは手も繋いでくれないのかなと…離れている間に君は…」
「そんなことはないけれど、誰かに誤解されたら…
それに、ガーランド様とのこと知っているのでしょう?」




