学院 1
「トール、そんなにずっと一緒にいなくても平気よ?」
エイミーは今日はずっと一緒にいるトールに声をかける。
「ん?別にいいだろ?幼馴染で従兄なんだし。」
「でも、変な噂が立ったら困るわよ?貴方はまだ婚約者がいないのだから。」
「貴方はって、お前もいないだろ?」
「決まったわ…。」
「はっ?えっ?嘘だろ!?」
(正式に決まったのか!?)
「学院を卒業したら、嫁ぐの…」
「ちょ、ちょっと待った!
エイミー、君はサーフロー家の後継者だろ?誰が伯爵家を?」
「伯爵家は義妹のアメリアが継ぐのよ…」
「そんなはずはっ!だって、正当な後継者はエイミーのはずだろ!?」
「そうだった…でも、もういいの…だから、私のお相手のためにも、トールの将来のお相手のためにも…」
泣き出しそうな顔のエイミー。
「エイミー、君の本当の気持ちが知りたい。その婚約は…」
「トール·エヴァンス君、俺の婚約者候補に何をしているのかな?」
そこに現れたのはガーランド侯爵家の嫡男ユリウスだった。
「ユリウス·ガーランド…」
「もう少しで、エイミー嬢は俺の婚約者だ。幼馴染で従兄だとしても、馴れ馴れしくしてほしくはないな。」
「ガーランド様、申し訳ありません。トールには言って聞かせます。ご容赦くださいませ。」
「殊勝な心がけだね。エイミー、正式に婚約が決まったら学院を卒業するまで我が家で…」
「ガーランド様、まだ正式に婚約者ではありませんので、呼び捨ては…」
「おっと…そうだね。エイミー嬢がこの話を受けてくれるときいて、つい、嬉しくてね。
婚約が結ばれたら、俺のことをユリウスと呼んでくれるかい?もちろん、君以外には名前で呼ばせないよ。俺は君だから、名前で呼ばれたいんだ。」
「…承知しました…。」
「婚約が結ばれるまではトール·エヴァンス君が側に侍ることを許そう。幼馴染だし、親族だからね。」
「…ありがとう存じます。」
「それじゃあ。また…。」
ユリウスはエイミーの手を取り甲に触れない程度のキスをしてから去っていった。
「エイミー、ちょっと!」
トールはエイミーの手を引いて空き教室へ入っていった。
「手、拭いて。あいつが触ったからお前の手汚れた。」
「汚れたって…」
「あいつは侯爵家としては下なのに、いろんな人を見下していいるしエイミーのことも気色悪い視線で見ているから、腹が立つんだよ…。
なあ、あいつとの婚約はお前の意思か?」
トールは真剣な眼差しを向ける。するとエイミーは首を横に振った。
「お父様が昨日仰ったの…私が学院を卒業したら、ガーランド家へ…嫁ぎなさいって…サーフロー家は執事長のロブロがいるから、領民は守れると思うわ…」
サッとトールはエイミーを抱きしめた。




