大人の話 3
エイミーの父親の処遇をどうするかは両侯爵の頭を悩ませた。この男は領地のことなど、何もできない。というか、もう既にエイミーだけでも領地経営できているのだ。
しかし、こんなのでも彼女の父親なのだ。追い出して、彼女に嫌われたくはないと両侯爵は思っていた。
「お前はこの伯爵家にとって異物だ。今後の身の振り方、自分ではどう考える?」
エヴァンスが優し口調ながらも鋭い視線をエイミーの父親に送る。
「私はあの子の父親です!異物でも、子の成長を見守る義務が…」
「エヴァンス侯も舐められたものですね…」
ホーキングがため息を漏らす。
「ホーキング侯、こいつはやはり駄目だ。お前、この家でのエイミーの扱いを私らが知らないとでも?更には忘れていると思うが、ロブロは伯爵家の執事長ではなくエヴァンス侯爵家の執事だ。内情を知らないはずがないだろう。」
「!!つ、妻とアメリアはどうなるのです!?」
「それは、前侯爵閣下が何とかしてるだろうから心配いらない。」
「ふたり仲良く、男爵家へ戻るとかかな?」
「そうだと思うぞ。こいつは戻る場所がないのだから。確か伯爵家の三男なのだろ?実家へ送還しても厄介者だろう。」
「わ、私が実家へ戻る!?そ、そんなのありえない!私は兄さんたちよりも上の立場に!」
「お前はただの代理だ。もうエイミーは15歳で代理の必要はない。そもそも、代理の役割も果たさずに何が兄たちよりも上の立場なのか知りたいね。」
「こんなのでも、私の義娘になる子の父親だと思っていたが…」
「そうだな。私も可愛い妹の旦那で可愛い姪の父親だからと思っていたが…」
「話しは終わったか?」
両侯爵がエイミーの父親を労働施設にでも送ろう考えていると、前侯爵が応接間へ涼しい顔をして入ってきた。
「儂のが早かったようだな。」
「父上、こいつは駄目です。労働施設へ送還する準備をします。」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「黙れ!お前の妻は状況が把握できてからは静かだったぞ?自分の身の振り方を自分で決めることができた。その娘の処遇も概ね儂の希望通りだ。」
前侯爵が後妻とアメリアの処遇を応接間にいる全員に告げる。
「そ、そんな…」
エイミーの父親は激しく落胆する。
「今すぐにでも出立の準備を。誰か、早馬で施設の管理をしている部署にこの手紙を。」
エヴァンスは用意してあった手紙を届けさせた。
「エヴァンス侯、準備がいいね。」
「何となくだが、この結末を予想していた。ただ、こいつにほんの少しでもエイミーへの愛情があったなら、実家へ強制送還だけで済ませるつもりでいたんだよ。」




