エイミーとジャック 2
懐かしの小高い丘でジャックに求婚されたエイミーはどう返事をしていいのか分からないでいた。
「ジャック…貴方の気持ちはとても嬉しいわ…
でも、ガーランド様との婚約お父様の意向で決まってしまったの…だから、私にはどうしようも…」
「エイミー。」
ジャックは立ち上がるとエイミーを優しく抱きしめた。
「ガーランドとの婚約の話し一旦忘れて、君の本当の気持ちが知りたい。」
エイミーはジャックに抱きしめられると先程トールに抱きしめられたときとは違う感情があることに気づいた。
彼女は昨日、母親の守ってきた領地を自分が守れない不甲斐なさで泣いたと思っていたが、本当は違った。
彼女はガーランドとの結婚が嫌だったのだ。
(私、ジャック以外の人と夫婦になるなんて絶対に嫌だと無意識に思っていたんだ…)
「ジャック、私も貴方が好き…。きっと、初めて会ったときから…。
本当はガーランド様と結婚なんて…」
「エイミー、俺と結婚してほしい。」
ジャックはもう一度求婚する。
「嬉しい…。本当に嬉しいわ。でも、わ、私どうしたらいいの…?私、自分であの領地を…領民を…」
エイミーは嬉しさと領民への想いでまた泣き出してしまう。
そんな彼女をジャックは背中や頭を撫で落ち着かせる。
「エイミー、大丈夫だよ。顔を上げて?」
「ジャック…私どうしたらいい…?」
まだ半泣き程度のエイミーはジャックを見上げながら訊いた。
「うん。ちゃんと説明するから、馬車へ戻ろう。少し涼しくなってきたから。」
来たときと同様にエイミーの手を引いてジャックは馬車へ戻る。彼は馬車へ乗り込むとエイミーの横…ではなく、彼女を膝の上に乗せて抱きしめた。
「あの…ジャック…この体勢は…」
「えっ?嫌…かな?俺はこれがいいのだけど?
両想いだって分かったんだし。」
膝の上にいることでエイミーはジャックの上目遣いからの発言に顔を真っ赤にした。
「ジャック、やっぱり留学して意地悪になったわ…。」
「はは。そんな、ことは…あるか。さっきもトールに丸くなるかと思ったって言われてしまったしな。でも、君が泣き止むなら、何だってするさ。まあ、泣かせないのが一番だけど。」
「トールに怒られるわね。」
「確かに。泣かせたら許さないって言われたな。俺。」
「ねえ、ジャック、私は本当に貴方と結婚できるかしら…?」
「不安かい?」
「だって、家同士の問題でもあるし…」
「エイミー、君の結婚に関してサーフロー伯爵家だけでなく、エヴァンス侯爵家にも関わってくるんだ。伯爵家は前侯爵夫人の生家だからね。」
そう言うとジャックは恐らく今、伯爵家で起きているであろう、エイミーの父親や継母、義妹の処遇について説明した。




