祖父と義孫と男の後妻
「エヴァンス侯爵様…つまりはこのサーフロー伯爵家は…」
「儂の妻の生家で、娘に爵位を継がせた。それが前サーフロー伯爵だ。」
「お義姉様のお母様だった方が伯爵…で、では、お父様は!?」
「あの男はエイミーが成人するまでの代理だ。婚姻の書類にも明記してある。なのに、何故あいつが伯爵位だと…お前たちはあの男が伯爵だと思っていたのか?」
「…」
「お父様はずっと自分が伯爵だと私やお母様に言っていましたわ!私を伯爵令嬢にしてくれると優しく言ってくださいましたもの!」
後妻は黙り、アメリアだけが正論を言っているかのように発言する。
「はあ…。儂も人の心はあるからすぐに出て行けとは言わん。」
「な、何故出て行かなければ…」
「ここはお前たち母子がいていい場所ではないのだ。もちろんあの男もだが。」
「お祖父様は私を追い出すのですか!?」
前侯爵はこの期に及んでも祖父と呼ぶアメリアが得体のしれない何か…なのではと少し寒気を覚える。
「いいかい、アメリア嬢。
私が優しく説明している間に理解してもらいたいのだが、私と君には血縁関係がないのだ。君の父親ともね。だから、この伯爵家を継ぐのは前伯爵の血を引く子どもと決まっているんだ。」
アメリアは項垂れる。
「そ、そんな…私が素敵なお婿さんをもらって、
伯爵家を継ぐのでは…」
ブツブツと何かを言っているアメリアを無視して、前侯爵は後妻に問う。
「して、これからどうする?あの男はエイミーの父親だが、成人したエイミーには必要ないと我が家では判断している。
近々、実家へ送還するつもりでいる。」
「…はい…。」
後妻は既に返事をするだけで、俯いたままだった。
「君は確か、男爵家の出だったな?娘と共に帰るならば、口添え程度はしてあげよう。」
「男爵家へ…」
「こう言ってはなんだがな、あの男は伯爵家の三男だから、帰ったとしても居場所はなかろう。娘のことを思うならば、自分の生家へ戻るのがよかろう…」
「はい…
あの、侯爵様。口添えをいただけるのでしたら、他家の使用人になろうと思いますので紹介状…という形でお願いできませんでしょうか?」
「使用人として他家で働くと?」
「はい。男爵家でも使用人のように働いておりましまので…。」
「しかし、娘はどうする?生粋の貴族のお嬢様だろう?」
「娘は、遠方の修道院へ入れようかと。一緒に使用人として働いたとして何かあれば紹介した方の顔に泥を塗る行為。私はこの子を甘やかしすぎました…。」
前侯爵は後妻が意外とまともになったことに驚きつつも、その提案を受け入れることにした




