大人の話 2
伯爵邸の応接間。エヴァンス、ホーキングとエイミーの父親そして、伯爵家執事長のロブロが揃った。
「それで、本日はどのような用事で?」
エイミーの父親は何を言われるのかさっぱり理解していない。
「貴様、エイミーの婚約者をガーランド侯爵家の嫡男に決めようとしているそうだな?」
エヴァンスが怒気を放つ。
「何故、それを…」
「今まで、浮いた話一つなかったエイミーの噂は立ちやすいからな。」
「エイミーはガーランド侯爵家の嫡男であるユリウスと婚約をさせるつもりで動いております。」
「このサーフロー伯爵家は?」
「伯爵家はアメリアに家督を…」
「エヴァンス侯、久しぶりに会ったがこの男、こんなにも頭が空っぽだったか?」
「なっ!?ホーキング侯、それはいささか…」
「ホーキング侯よ、それを見抜けなかった
妹の落ち度は認めよう…恥ずかしいが…。」
両侯爵がエイミーの父親を無視して会話をしている。
「ふたりとも、何なのですか!?」
エイミーの父親も怒りを抑えきれなくなってきている。
「貴様、忘れているのか?」
エヴァンスが問いかける。
「忘れているとは?」
「はあ…お前は婚姻するときの書類にちゃんと目を通したのか?」
呆れながら、エヴァンスが続ける。
「婚姻の書類には、子どもの爵位についても明記してある。
『子が女のみの場合でも、伯爵家当主の産んだ子どもであれば、伯爵位を継承できる。』とあるんだよ。」
そういうと、エヴァンスはロブロから書類を受け取り、エイミーの父親へ渡す。
「それは、控えだ。原本は城で厳重に保管されているからな。」
そして、ホーキングが続ける。
「その続きに書いてあるだろう?
『子が成人するまでに、当主に何か起きた場合は、配偶者が子が成人するまで代理となる。』
サーフロー伯爵が女伯爵だったことは貴族ならほとんど知っている。つまり貴様は伯爵ですらないのだが…。」
「え、エイミーが、伯爵位を継ぐのは責任が大きくて、重圧に耐えられないから後継者の座を降りたいと!」
エイミーの父親は苦し紛れに大声をあげる。
「そんなことをエイミー嬢が言うはずがないんだ。あの子は小さいときから次期伯爵として研鑽を積んできた。母親が守ってきたこの領地を、領民を自分でも守れるようにと。私の息子に将来領地のことで相談があったらする。と言っていたような子だぞ?重圧など、昔に跳ね返している。」
ホーキングが静かに言う。
「貴様は父親失格だ。お前の血がエイミーの…可愛い私の姪に流れていると思うと虫唾が走る思いだ。」
エイミーの父親はどうすることもできなかった。




