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カジバノチカラ - 鉱石少女がエクスカリバーになるまで -  作者: 上田文字禍
第2部 「魔剣衝突」
41/42

40 「水の試練」

ドワーフの里長であるガラールが、直々に肉を焼き、おれたちに振舞ってくれている。


こんな贅沢なことある?


タン塩

ハラミ

中ロース

上カルビ

チャンジャ

ホルモン……。


ガラールは肉を焼くたびに、その部位の名前をおれたちに伝えてくれたが、さっぱり。

変な呪文にしか聞こえなかったぜ!


これが〈ヤキニク〉!

これが異世界の食事!!!

なんてもんをオンディーヌに教えたんだ、勇者ハルマ!

美味すぎるぜぇ!!!



「俺の〜皿ぁにあった肉……どこいきやがったぁ。この中に盗みを働く、卑しいネズミがいるなぁ!!!」

赤ら顔のアルヴィースが、犯人を探すようにおれたちをにらみはじめた。


「いねぇよ」

と、ジジイの妄言にツッコむ。


「……ああん? おめぇか、カジィ!!!」

アルヴィースがソファーから立ち上がった。


「違わい! さっきてめぇで食ってただろうが、ボケ老人がよぉ!」

肉を持ったまま、立ち上がる。


おれとアルヴィースは額をガツンと合わせた。


「カジィのいう通りサ、アルヴィース。キミが自分で食べたんだろ?」

ワイングラスを揺らすローニ。

おれに助け舟を出してくれた。


アルヴィースはそれを聞くと、ゆっくりとソファーに座り直す。

「ふん……今回は譲ってやる。お前の勝ちだ」


何言ってんだこの野郎……。


「そうだ☆ ボクはもう食べないから、残った肉、誰かいるかい?」

ローニがおれたちを見てニヤッと笑う。


「食う!」

「食う!」

おれとアルヴィースが息を揃えて叫んだ。


第2回戦


開始ィ!!!



ミスリルはその光景にドン引きしていた。



---



おれはローニの残した肉をゆっくりと堪能(たんのう)する。

「やらけ〜〜〜! うめ〜〜〜!」


その様子を悔しそうににらむアルヴィース。


そう、2回戦もおれの勝ち。

なんで負けたか、明日までに考えといてください。



肉を食うおれの元にエグレが寄ってきた。

「……ユッケ、なんで先に食べたのよ? あたしが毒味するって言ったのに」

彼女がささやく。


「……え? 待ちきれなかったから?」

肉を頬張りながらそう答える。


おれの回答にエグレはムッとした。

「……同情してやったんだったら、そういうのやめてよね。ウザい」


冷たい声色だ。


「同情……つーか、普通におれが嫌だったんだよなぁ〜。危険かどうかくらい、てめぇで判断できるぜ」


……まぁ、ハルジオンには「軽率なことするな!」

って怒られたけど。


エグレはため息をつくと、ソファーに深く腰掛けた。



---



膝の辺りに重たい感触を覚え、目を覚ます。


ヤキニクを満喫し、ドワーフのみんなと談笑したあと、いつの間にかソファーで寝てしまったらしい。


「うぅ……飲みすぎたぜ」

目を擦り、辺りを見回す。


網のついた机、ソファーで眠るエグレ、ヘイミル、ハルジオン。


周囲には炭の匂いが残っている。

……どうやら昨日のヤキニク祭りは夢じゃねーみたいだなぁ。


視線を下げると。

「うぉおあっ!!!」

ミスリルがおれの膝を枕にして眠っていた。


重たい感触の正体はこいつか……。

早くなる鼓動を抑えながら、彼女の銀の髪に触れる。


サラサラのサラだぜぇ。


髪一本一本が作り物のようにきれいだ。

まぁ擬態だし、作り物って言えなくもねぇけど……。


彼女の頭をゆっくりと動かし、ソファーに寝かせてから立ち上がる。

あれ……ドワーフたちがいない。

机にあった食器もすでに片付けられている。


「みんなは…」

頭を押さえながらつぶやく。

まだ酔いが残ってんなぁ。


「……皆様はすでに仕事を始めていますよ」

背後からそう声が聞こえる。


振り返ると水の守護霊〈オンディーヌ〉が立っていた。


「ええと……あぁ、ヤキニクマスター」

彼に軽く会釈をする。

「水の試練、始めないとっすよね」

オンディーヌは、おれの質問に「ええ」とうなずく。


「だったら、早くやりましょう」

ハルジオンが頭を押さえながら、ソファーから立ち上がった。


「ホホ、おふたりともまだ酔いが残っているようですね。では……」

オンディーヌが片手を軽く振る。


となりのハルジオンがすぐさま背後を警戒した。

それにつられておれも背後を向く。


後ろには、《水で出来た人型》が立っており、おれたちの頭に触れようとしていた。


ハルジオンはおれの首元を掴み、水の人型と距離を空ける。


「ギゲェッ!!!」

ニワトリの断末魔のような声を出すおれ。


「なんだこいつ」

ハルジオンが水の人型をにらむ。


「それは私の分身……。いえ〈化身(けしん)〉と言うべきでしょうか。あなた方に危害を加えるつもりはありませんでしたが……その反応速度、お見事です」

オンディーヌが拍手をする。


ハルジオンはため息をつくと、右目の眼帯を抑えた。


「なるほど、〈暴竜(ぼうりゅう)ニーズヘッグ〉によって滅びた〈翼の民〉の象徴……。全てを見通す〈天眼〉ですか」

オンディーヌが目を細める。

「その眼であれば、眼帯越しでも自身の背後まで視ることができますね」


「開眼してしばらく経ちます、もっと使いこなさないと……」


「それはあなたの一部、道具のように扱っていてはいけませんよ」

オンディーヌが微笑んだ。

「……おふたりとも、その化身は危害を加えませんので、安心して触れてみてください」

彼はそう言って水の人型を示す。


おれたちはオンディーヌの化身、水の人型にゆっくりと触れた。

すると、その人型が液状に戻り、おれたちの身体の中に流れ込んできた。

その瞬間、頭の中が一気に冴える。


水は全身の汚れと疲れ(あと酔いも)を一気に流し去っていった。


「うぉああ……すげえ」

思わず声を出す。


「これが水属性。4つの属性の中で一番柔軟かつ幅の広い属性です」

オンディーヌが両手を広げた。


「確かに水属性は万能そうだなぁ!!!」

……まぁ他の守護霊も「自分の属性が一番使いやすい」って言ってんだけどな。



そうしているうちにミスリルとエグレ、ヘイミルも起きてきた。

彼女らもおれたちと同様に水の人型によって全身を清めた。


オンディーヌが手を振ると、ソファーと網のついたヤキニク用の机が流れるように神殿の奥へと消える。

神殿内は一気にがらんとした様相に変わった。


「えっと、試練ってのが始まるわけ?」

エグレがおれに言う。


おれはうなずいた。


「こ、これで4つ目だね」

ミスリルが胸の辺りで両手をグッと握る



「四大属性、ここまでは〈前任者〉もたどり着きました」

オンディーヌが言う。


「前任者……?」

エグレが首をかしげる。


「おれの前の〈聖剣の作り手〉のことだぜ」と、説明する。


鍛冶師〈カリオストロ〉と、魔鉱石〈アダマンタイト〉のことだ。


『ここまでは辿り着いた』

……ってことは前任者は《ヴォイド》の属性を授けてもらえなかったのか?



オンディーヌが指を鳴らすと、神殿の奥の床から台座が迫り上がってきた。


「こちらへ」

オンディーヌが台座の方へくるよう、おれたちを(うなが)す。


台座の前までくると彼は台座の上に乗った立派な(ほこ)を手で示した。

「これが、4英雄の1人〈削岩王(さくがんおう)ゴルドシュミット〉が使った武器。水の聖宝器〈アクアジェット〉です」


……ゴルドシュミット。

バルドール王国の初代国王だ。

バルタサール王とイルザ姫の先祖でもある。


「触ってもいいっすか?」

「もちろん」と、オンディーヌ。


両手で鉾の柄をつかみ、ゆっくりと持ち上げる。

「おお……」

やっぱり、勇者ハルマはすげぇ職人だ。

どこまでも洗練された武器を作る。


だけど……。

はじめて〈火の聖宝器〉を手にした時よりも、ずっと身近に感じる気がする。

漠然としたすごさしか感じられなかった以前のおれとは違う。

今は《どこがどう凄いのか》がよくわかる。

構造、強度、熱の加わり方……。


〈気の聖宝器〉をオリジナルで制作した経験が、ちゃんと活きてるんだな。


大丈夫だ。

おれだって凄い職人に近づいてるぜぇ!


「……水の試練、よろしく頼むぜ」

そうオンディーヌに言った。



---



「水の魔力を授けましょう、火、土、気……そして水。これで4つ目。今まで以上に定着に時間がかかるはず」

オンディーヌが説明する。


「どれくらいですか?」

と、ハルジオンがきいた。


「……おそらく1週間程度」


「まじか」と、両手を上げておどろく。


「こればかりは仕方ありません」

オンディーヌが首を横に振る。


「この里の周囲には敵が近づいています。目を覚ましたら敵に占領されてた……なんて笑えないですよ」

ハルジオンが心配そうにする。


「信じて試練に専念するしかありません」


「え、えっと。気の試練の時は風になってたし……今回は1週間、水になるんですか?」

ミスリルが小さく手を挙げて発言した。


「いえ、水になるとは違いますね」

オンディーヌがおれとハルジオンの前に立つ。

「今回は《己の中にある流れ》に目を向けるのです」


「それは、どういう」

ハルジオンが首をかしげる。


「すぐに分かりますよ」

オンディーヌはそう言うとおれとハルジオンの頭に手を乗せた。

「己の記憶から必要な情報を得なさい」


「え、えっと……。がんばってね!」

ミスリルがおれに言った。


「ああ!」



オンディーヌが手に力を込める。

その瞬間、おれとハルジオンの身体が水に包まれた。

そしておれの意識は身体の奥底へと流れていった……。



---



流れ

流れ……。


血液がおれの全身を巡っている。


命が巡っている。


この血は父ちゃんと母ちゃんから生まれたものだ。

それにもっと前……。

父ちゃんの親、母ちゃんの親もこの血に刻まれているのを感じる。


おれは意識を研ぎ澄ます。


深く

深く……。


血液の中から不思議と情景が伝わってくるのが分かった。


鉄を打つ音。

火花。


父ちゃんの血筋はみんな、鍛冶職人だったみたいだ。


怒りと悲しみ……。

血に深く刻まれているこの感情は……戦争の記憶。


父ちゃんの先祖は戦場に立っていた。

母ちゃんの血筋は……高貴な血筋だったらしい。


ミズガル王国の首都〈シグルド〉辺りの自然が目に浮かんでくる。

先祖の生まれはその辺りなのか。


母ちゃんの先祖は王の元で様々な物を作っていたようだ。


その流れは全ておれにつながっている……。


これって、すげぇことだよなぁ。

おれはこんなに沢山の命の先にいたんだ。



---



気付くとおれは父ちゃんの鍛冶場の前に立っていた。

〈ホッドミーミルの森〉にある洞窟だ。


「これは……」

目の前には、洞窟中をのぞく小さな人影。


……あれは昔のおれ。

多分4、5歳だろう。

父ちゃんと母ちゃんが生きていた頃のおれ。


「これは……昔の記憶?」



おれは鍛冶場をのぞく、昔のおれに近づいた。


「カジバ、来ていたのか」

懐かしい声がおれの耳に飛び込んだ。


父ちゃんの声だ……。

洞窟の中から聞こえる。


「鍛冶の稽古は昼からだったと思うが」

彼が言った。


おれの父ちゃんは無口な職人だった。

鍛冶場に(こも)りきりだったり、仕事で家を空けることが多く、あまり一緒に遊んだ記憶はない。

父ちゃんのことは嫌いじゃないし、尊敬もしていたけど、漠然と怖さも感じていた。


……でもおれも父ちゃんと母ちゃんの役に立ちたくて武器作りの稽古を頼んだんだ。

父ちゃんにわがままを言ったのはあれが最初で最後だった。

おれの頼みを聞いた時、父ちゃんは少しおどろいた顔をしたけど、許可してくれた。


「最近森の動物たちが出てこなくてさ……だからここにいていい?」

昔のおれが洞窟の中に向かって言う。


「そうか……動物たちも感じているんだ。……〈沈黙〉がくるぞ」

父ちゃんの声が聞こえる。


彼の放った言葉におれはおどろいた。

これって〈職人殺し〉のことだよな。


「カジバ、入っておいで」

父ちゃんが言う。


昔のおれが洞窟の中に足を踏み入れた。

おれもその後に続く。


鍛冶場の奥にはおれの父ちゃん〈ヴィーラント〉がいた。


もう二度と見ることができないと思っていた姿。

もうはっきりと顔を思い出せなくなったと思っていた姿。


……なんだよ。

しっかり刻まれてるじゃねぇか、おれの記憶の中に。


おれは父ちゃんの手元に目線を移す。

そして、その光景に目を疑った。


父ちゃんの手元に一瞬、火花が散っていた。


「……父ちゃん今、ひかりが」

昔のおれが小さくつぶやく。


「ん? どうした?」

父ちゃんが昔のおれに尋ねる。


「……いや、なんでも」

昔のおれはそう言って目を擦っていた。


今のは……錬成魔術(モーフィング)だ。

間違いねぇ。


父ちゃんは長剣(ロングソード)を握っているだけで、金槌ハンマーは持ってない。

それどころか、周辺には鍛冶作業の跡が全くなかった。


当時は全く気づかなかった。

父ちゃんの秘密。


父ちゃんも、モーフィングができたんだ。


だとすると、父ちゃんの作った武器の量が異常に多いことにも説明がつく。

モーフィングなら作れるはずだ。


おれの前では見せなかった父ちゃんのモーフィング。

稽古の時は、おれにしっかりと鍛冶工程を教えるためにわざわざ手作業で作っていたのかもしれない……。


「父ちゃん」

おれは鍛冶場に立ち尽くしたまま、小さくつぶやいた。


すると、父ちゃんがおどろいたようにおれの方を見た。


「え?」

……昔のおれではない。

おれの方を見ている。


「カジバ……そこにいるのか」

父ちゃんが立ち上がった。


父ちゃんは真っ直ぐおれを見据えていた。


「見えてる……の」

「ああ」

「え? まじで父ちゃん?」

「いや……お前の記憶の俺だ。おそらくな」

難しいことを言う父ちゃん。


彼は昔のおれの頭にポンと手をおいたあと、おれの元へと歩み寄った。

「お前は自身の記憶から情報を知らなければならない、そうだろう?」


『己の記憶から必要な情報を得なさい』

試練を始める前にオンディーヌが言っていた言葉をおれは思い出した。


「え? 情報?」


「ああ、ふたつの重要な情報だ。ひとつは俺が錬成魔術を使えたこと。もうひとつは……お前にとって苦しい記憶になる」

父ちゃんが真剣な眼差しでおれを見つめた。


その時、背後から奇声が聞こえた。

その声におれの全身が痙攣する。

……職人殺しの声だ。


気づくと父ちゃんの姿が消えていた。

おれは周囲を見回す。


辺りの景色が、一気に暗い森になった。

ゆっくりと背後を振り返ると少し先に複数の人影が見えた。


……あれは父ちゃんと母ちゃん。

職人殺しに立ち向かう両親の姿だ。

そして、それを見ている昔のおれ。


この光景は……。

父ちゃんと母ちゃんの最期。


「カジバ! 逃げて!」

母ちゃんが昔のおれに叫ぶ。


昔のおれはそれを聞くと膝を震わせながら走り出した。

こちらへ向かってくる。


昔のおれがおれの横を通り過ぎた時、辺りの景色が一気に暗くなった。

その後、《大きな衝撃音》と《父ちゃんと母ちゃんの悲鳴》が耳の奥に大きく響いた。


思い出したくない記憶だ。

唇を噛み、目を閉じる。

すると……。


「カジバ! 逃げて!」と、母ちゃんの叫び声が再び聞こえた。


目を開けると景色が巻き戻っていた。

昔のおれが母ちゃんの声を聞き、こちらへ逃げてくるのが見える。


「……どうなってる?」


昔のおれがおれの横を通り過ぎた時、辺りの景色がまた暗くなった。

そして、大きな衝撃音と父ちゃんと母ちゃんの悲鳴が耳の奥に大きく響く。


「おい! これなんなんだよ!」


すると。


「カジバ! 逃げて!」と母ちゃんの叫び声が聞こえた。


まただ……。

再び景色が巻き戻っている。


おいおい、この景色を一生見させる気か!?

大きな衝撃音と父ちゃんと母ちゃんの悲鳴が何度も何度もおれの頭の中に響いている。


何度も何度も。

何度も。

何度も。

何度も。

何度も。


悲鳴の後の光景は見られない。

おれが実際に見てないからだ。


そう、ここはあくまで記憶の世界……。


「くそ、なんでこの記憶なんだ!!!」

頭を抱える。


『お前は自身の記憶から情報を知らなければならない』

『己の記憶から必要な情報を得なさい』

オンディーヌと父ちゃんの言葉がフラッシュバックする。


情報?

ここでなにを知れっていうんだ?


そこでおれは気づく。

繰り返し聞こえる父ちゃんと母ちゃんの悲鳴。


……本当にそうか?

本当にふたりの悲鳴か?


耳を澄ます。

「いや……違う」

悲痛な叫び声にも似たこの悲鳴……。

どこかで聞き覚えがある。


大きな衝撃音の方もそうだ……こっちも聞き覚えあるぞ!!!

おれは頭をフル回転させて記憶の断片をつなぎ合わせる。


どこかで聞いたんだ……。

どこかで……。

……。


つながった!


この悲鳴、職人殺しの悲鳴だ!!!

おれがはじめて錬成魔術を使った時、ミスリルで作った長剣でやつの顔を切り裂いた時に聞いた叫びだ!


これは両親の悲鳴じゃない!

職人殺しの叫び声!!!


そしてもうひとつの音。

大きな衝撃音は、ずっと父ちゃんと母ちゃんが殺された音だと思ってたけど、違う!

あの衝撃音は固い石が砕ける音だ!


鍛冶ギルドのみんなと錬成魔術を練習していた時に散々聞いた音じゃないか!


ギルド長のニコラスが言っていた。

「錬成魔術に失敗すると、使用していた素材が劣化する危険があるからくれぐれも気をつけろ」


実際におれは練習の時に何度か鉄を劣化させた。

でも、その時ふと思ったんだ。

わざと錬成を失敗すれば、敵の武器や石像を劣化させて壊せるんじゃないかって……。


大きな衝撃音は何かを劣化させて壊した音。

その後に聞こえた叫び声は、職人殺しの声。

そして父ちゃんは錬成魔術が使えた……。


おいおいマジかよ。

これ、職人殺しが父ちゃんにやられた音じゃねぇかっ!?



思えばおれは、父ちゃんと母ちゃんが死んだ所を見ていない。

死体も見ていない。


もしかして……

「おれの父ちゃんと母ちゃんは生きてる?」

またみてね!

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