最後の問い
「最後に問う。デュラハンよ」
「なんでしょう」
もう瞼が重いぞ。魔王様が鋭い眼光を向ける。
「自費出版は負け組か」
「――!」
一発で目が覚めた。冷や汗が出る。
「リアリティーの度が過ぎませぬか、魔王様」
「リアリティーが無ければ共感されぬ。前作があまりにもリアリティーのない結末だったから、今回は盛ってみたぞよ」
「盛り過ぎでございます――盛り盛りピクピクでございます!」
冷や汗どころか脇汗が流れます~!
「魔小説大賞を受賞して書籍化されるのが勝ち組であろう。であれば、受賞できずに筆を置けば負け組となる。それは庶民であり圧倒的多数なのだ」
「――御意」
血の気が下がりクラクラするぞ。
「では自費出版は勝ち組か、負け組か」
「勝ち組と言えば勝ち組で……」
「うん」
「負け組と言えば負け組で……」
「うん。予はそのような曖昧な答えは求めておらぬのだ」
魔王様……滅茶苦茶怖いよ――!
顎がガタガタ震えるぞ……首から上が無いのに……。
「では……目標、目的で勝ち負けが異なると考えます」
「ほほう、勝ち負けが異なるとな。申してみよ」
「はっ! 書いた小説なりラノベを一人でも多くの人に読んで貰いたいのであれば、多額の資金を投じて自費出版しても目的を達成できるので勝ち組でございます」
「うむ」
「逆に、儲けのために自費出版したのであれば、掛かった費用より利益が上がらなければ儲からず、その場合は負け組になりまする」
「うむ! それで!」
……それでって? こっちが聞きたい。わあーっと泣きそうになるぞ~!
「自費出版は、よほどの著名人でなければ自己満足となりましょう。ですが、その自己満足で自分が勝ち組と思えるのであれば、名案にございます」
迷案にございます――。
「魔王様、まさか自費出版を考えておられるのですか」
無限の魔力も通用しないのですぞ――冷や汗が出る。
「ううん。ぜんぜん」
――ぜんぜん考えてないんかーい! こんなにドキドキさせておいて~!
でも、内心ホッとしたのはなぜだろう……。もう、魔王様が勝ち組とか負け組とかすらどうでもよくなったのは――なぜだろう。
「予は……いずれ勝ち組となるのだ。今は負け組でよいのだ」
「……御意」
魔王様は……勝ち組です。
……たぶん。
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