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独白
私はある決断に迫られていた。
窓の外の庭には黒髪の少女が楽しそうに花を摘んでいる。
それを見ているだけで私の心は安らいでいく。
しかし、幸福な時間はもう長くはない。
彼女に魔術を教えはじめ早くも5年がたとうとしている。
彼女が成長し魔力を着実に強めていく反面、私の魔力は急速に衰えている。最盛期の力があればこれから来る敵を迎え撃つことができたかもしれない。が、今の私では足止めがやっとだろう。ならば、取るべき道は決まっていた。私はペンを取り手紙を書く。彼女が可能なかぎり苦難から逃れられるように……