サングラスマン
【注意】
「小説家になろう」では、作品の削除は推奨されていません。なので、私は、削除ではなくて、タイトルや本文を「□□□□」で置き換えるというような対応をするべきだったと反省しています。そうすることで、該当アドレスのページを次の作品などに利用することができたはずです。自分は削除したことで、「リンク切れ」のページを生み出してしまいました。申し訳ありませんでした。
「こんにちは。私はサングラスマン。よろしくね。」
唐突に現れた黒スーツの男は、黒いサングラスをかけていた。
彼がどこから出てきたのか、あるいはどうやって私の部屋に入ってきたのか、わからなかった。
私はあまりにも突飛な出来事に、恐怖を感じる余裕すらなく、ただただ唖然としていた。
「さて、たった今、君はいけないことをしたね。
いや、良いとか悪いとか、そういうほどのことではないのかもしれないけど、あまり好ましくないことをした。」
そのように話を切り出すと、男はビニール傘で、私の向かっていたパソコンの画面を、(画面に当たらないように)指し示した。
「ああ、消してしまったね。君は、初めて投稿した作品を、消してしまったんだ。
どこも悪いところはなかった。なんの問題もなかった。なのに、君は消したんだ。」
「そりゃあ、そうですけど。でも、あれは駄目だったんです。」
「そう、君の作品は未熟だった。未完成だった。…早すぎたんだ。」
私は、小説投稿サイトで、初めて投稿した第1話を、いや、小説ごと消してしまったんだ。
でも、私は頑張ったんだ。どんな世界観で、どんなキャラクターが登場して、どんな物語を紡ぐのか。
けっこう形になってきたところだったんだ。書いてるときもワクワクしていたんだ。
「でも、消した。どうして消してしまったんだい?」
「なんか、苦しくなってきたんです。
私は、いろいろとアイデアを練り直しました。キャラクターのイラストだって描きましたよ。
とても魅力的なキャラクターが出来上がりました。
世界観だって、いろいろと考察しましたし。私の頭の中に、世界を作り出していったんです。」
「そう、君は頑張った。ちょっと時間があると、いつも作品のことを考えていた。
君のポケットノートが、もう2冊目に突入しているというのも、それを物語っている。
しかし、君は『苦しくなった』と言ったね。それは何故だかわかるかい?」
「イメージが、はっきりとしていなかったから?」
「そうだ。曖昧なイメージが、君をアイデアの海に溺れさせようとしたんだ。
君の作品は壮大だったからね、水中で足が底まで届かずに、もがくことになったのだ。」
そうだ。私は、初めて登るにしては、高すぎる山を選んでしまったのかもしれない。
長すぎる道のりを選んでしまったのかもしれない。
その世界のことを、右も左を知らない状態で、無謀なことをしたものだ。
「ところで、あなたは何者ですか。」
「言ったろう?"サングラスマン"だ。」
私は、後ずさりをしながら、身を守れるようなものがないか手探りで調べた。
ちらりと目線を手元に移して、再び前に戻したとき、そこに男の姿はなかった。
部屋をぐるりと見渡したが、男はどこにもいなかった。




