主人公がいなくなったら絶対誰かが主人公になる。(1)
いつかのフラグの回収話です!!
不良=脇役Aになったら、もちろん・・
【主人公=妹】
「ふぁー・・よく寝た・・」
朝。いつも通り7時に目を覚ました私は固まった体をグッと伸ばした。顔にあたるまぶしい光に目を向けると、窓の外には雲1つ無い綺麗な青空が広がっている。
「おおー。きれい・・」
私はベットから立ち上がって、綺麗な空をよく見ようと窓辺に動いた。近くで見るとより空の青さがわかる。
「今日は晴れか・・よかったー。」
と私が呟いた、その直後・・
「ザアアアアアアアァァァァァァァ・・」
青空は一瞬のうちに雨雲に覆われ、バケツをひっくり返したような雨が振りだした。
まあ、いつものことだ。どうせまたあの脇役Aの仕業に違いない。あいつのせいで何度爽やかな朝を台無しにされたか・・。今日も1発殴らないと気がすまない。
私は雷が鳴り出したのを聞き、静かに窓から離れた。
あー。でもやっぱり自分視点で話が始まるのって最高!これは脇役Aが主役を譲らないわけね!
朝起きた時に自分の考えてることがそのまま伝わるってビックリしたけど、ここまでではっきり分かった。今日から私が主人公だ!!ヤッホウ!!
よーし。じゃあここで主人公の特権『突然の自己紹介』しよっ!読者のみんなも誰だこいつってなってるだろうし!
私の名前は不良律!風楽小学校4年生で元主人公の妹!
そして何より!この物語の主☆人☆公だっ!!
【主人公=母】
と、言うのは嘘。彼女はこの物語の主人公じゃない。読者の皆さん、騙されないで!
私は娘の部屋に入りながら、読者の皆さんに警告した。
「あ!お母さん!視点奪ったでしょう!」
「うるさい!年功序列よ!あなたは黙って勉強してなさい!」
「そ、そんな!ひどいよ!虐待だよ!」
娘の文句なんとやら。楽して主人公になれると思ったら大間違いなのよ!あんたにゃ100年早い!
いまだ不満げな娘の追及から逃れるため、私は昔、地獄のサバイバルで培った強靭な足腰をフル稼働して、一瞬にして一階のキッチンまで駆け降りた。
ふぅ。ここまでくればもう大丈夫でしょ。娘はあの時(第1話参照)以来、キッチンに立つ私に近づこうとはしないから。
つまり、この物語の主人公は私に決まりってこと!ヒャッホウ!
おっとっと、こうしちゃいられない。さっさと家事を終わらせて、主人公ライフを満喫しないと!
じゃ、包丁をとる前に名乗っておこう。
私の名前は不良季野留!元元主人公と元主人公の母親であり、
何を隠そう、この物語の主人こ・・
「ちょっと待った!」
「なぁに?脇役A。本番中よ。脇役は下がってなさい!」
「いやいやいや、おかしいでしょ!なんで一人称お母さん視点になってんの!?俺も声だけ出演になってるし!てか俺が『脇役A』って!?あり得ないでしょ!」
「いや。それ明らかに・・」
フラグ・・と言いかけて止めた。
もしこの脇役Aがフラグに気づいたら?恐らくまた脇役A視点に戻り、今後私が主役になることは無いだろう。
・・フフ。気づいてないならちょうどいい。私が主人公であり続けるため、一生脇役Aでいてもらおう!この物語は私の物だぁ!!はーはっはっはっはっ!!
私は主人公の特権『心の声が読者に伝わる』を駆使しながら、騒ぐ脇役Aを余裕の表情で見下ろして続けた。
分かりづらかったですねw
一応補足ですが、はじめは妹視点、後半は母視点です。
次回!不良が主人公枠を取り戻す!?乞うご期待!!