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choice01  作者: 陽芹 孝介
第六章 アマツカ
20/27

葵は事の真相を語り始めた。

「順平君が死んだ犯人はとされる、広場を調査していた時です…」


……五日目…正午……



広場の調査を終えパーティールームに戻ろうとした時だった。

「何だって?犯人がわかった?!」

歩が思わす大声で言ったが、葵が制した。

「落ちついて…うろたえないように…」

有紀が言った。

「どういう事だ?…犯人は?」

「犯人は……おそらく順平君です…」

歩が勢いよく疑問を投げ掛けようとしたが、有紀がそれを制し、代わりに聞いた。

「順平は……我々の目の前で死んだんだぞ?」

「どうしてあれが順平君だと、確信かもてるのです?」

有紀は目を見開いて言った。

「まさか…別人か?…」

葵は言った。

「別人かどうかは、わかりませんが……あれは偽物でしょう…」

歩が言った。

「しかし……いくらなんでも…」

葵は言った。

「他にも妙な点があります…」

有紀が言った。

「妙な点?…」

「ええ……広場を調べましたが…キレイ過ぎる…」

歩が言った。

「それは、リセットのルールだろ?」

「だったら尚更、おかしい……ルールが適用されるなら、残ってないといけない物まで消えてしまってる…」

有紀が言った。

「残ってないといけない物?」

「モロトフカクテルを使用した時の硝子片や、爆発を起こしたスプレー缶の残骸などです…」

有紀が言った。

「そうか……確かに凶器まで消えているのは、おかしい…」

歩が言った。

「つまり……どういう事?」

葵は言った。

「つまり…犯人は、あの偽の遺体に火を放ち、11時30分頃に出てくる僕たちに…その光景をみせる。そして爆発で僕らを威嚇して…パーティールームに僕らを避難させ……その後僕らがいなくなったのを、見計らい…消火作業をし、偽の遺体と痕跡を、あの鉄のボックスに捨て消去した」

有紀が言った。

「火や爆発で荒れた広場はリセットのルールで、元通りか…しかし何故順平だと?順平が犯人を返り討ちにした可能性もあるぞ…」

葵が何かを取り出して言った。

「これです……」

それは先程葵が拾った黒い棒状の欠片だった。

葵が言った。

「これは、後でもう一度調べますが、眼鏡のフレームの破片です…順平君のね…」

有紀言った。

「そうかその丸みがかった箇所は、耳にかかる部分か…」

「そうです、これが残っているとう事は…」

歩が言った。

「順平君が生きている……しかしどうやって拳銃を…」

葵が言った。

「おそらく貰ったのでしょう…」

歩が言った。

「貰ったって?」

葵が言った。

「考えてみて下さい…こんな大それた事順平君一人に出来ると思いますか?先程のトリックもこの島の性質を熟知していなければ出来ません…」

有紀が言った。

「順平が『X』の可能性は?」

「それも考えましたが……ないですね…」

「何故言い切れる?」

「僕たちを四六時中監視してないと、このトリックは成立しません……愛美さんを殺害した後に引きこもった順平君には、監視できません…」

歩が言った。

「じゃあ、順平君は『X』に操られてると?…」

葵が言った。

「はい……そして『X』に関しては思い当たる人がいます…しかし確証がありません」

歩が言った。

「とにかく今は順平君を確保して、脱出する事を考えなければ…」

葵が言った。

「いや、それはダメです…」

歩が驚いて言った。

「何でだよ?」

葵は言った。

「今順平君を確保し、皆で脱出を試みたら、『X』はなりふり構わず、僕らを消しにくるでしょう…」

有紀が言った。

「では、どうする?」

「騙されたふりをして、引き続き『X』には、遊ばせましょう…その方がまだ安全で、全滅は免れます…」

有紀が言った。

「しかしそれほど時間がないぞ?」

「確かに有紀さんの言う通り、これはただの延命処置で…時間がないのは事実です…」

歩が何か思い出したように言った。

「葵君……さっき『X』に心当たりがあるって言ってなかった?それってこの島にいるって事?」

「ええ……なので『X』をあぶり出します…」

歩が言った。

「でもなんで『X』が、この島にいるってわかったんだ?」

「部屋のドアの暗号です。暗号を使うという事は……脱出とシステムの解析に必要だから…」

有紀が言った。

「この島にいるのが我々だけなら、脱出ルートを作らず閉じ込めておけばいいからな…」

「そうです……すなわち『X』はこの島にいる事になります…」

歩が言った。

「しかし、どうやってあぶり出す?」

葵は髪をクルクルさせながら言った。

「『X』が僕の予想通りの人なら……僕らが戻った時に、アクションを起こし……そして、今夜また順平君を使い殺人を犯します…」

歩が言った。

「そこを抑えるのか?」

しかし葵は静かに首を横に振って言った。

「いや、ここはスルーします…」

歩が驚いて言った。

「何故だ?!チャンスじゃないのか!?しかも殺されるのを……見殺しにするのか?」

「この時点ではまだ早い…それに先程も言いましたが、誰が『X』かは、確証が持てません…」

葵の言葉に歩は悔しそうにしている。

有紀が言った。

「では、どうする?」

「明日の昼までに僕はシステムの解析をします……同時に脱出方法も…」

「出来るのか?」

「やるしかありません…」

「それで…?」

「明日の昼……皆が集まった時に、『脱出方法がわかった』と僕は宣言します」

有紀と歩は顔を見合わせた。

葵は続けた。

「そう言えば、『X』は順平君を使い僕を消しにくるでしょう…」

歩は言った。

「まさか……囮に?…」

「似たようなものですが……僕も偽物の遺体を用意します。それを順平君に襲わせて、隙をみて順平君を拘束して下さい…歩さんなら出来るでしょう?」

「確かに、それは簡単だが…」

歩は戦場カメラマンで数々の修羅場をくぐってきた……葵の、頼み事など容易かった。

有紀が言った。

「確かに順平は抑えれるが、『X』はどうする?」

葵は言った。

「そこで有紀さんの出番です…」

「何をするんだ?」

「偽の遺体に駆け寄って、検死のふりをして下さい……そして『葵は死んだ』と皆が集まった時に、言って下さい…」

「リアルさをより出すためか…」

「はい、ただし……これだけだは『X』は出てこないでしょう…そこで一つ仕掛けをします」

歩が言った。

「仕掛け?」

「歩さんには『葵が脱出方法のメモを残した』と言って下さい…そうすれば必ず『X』は尻尾を出します…」



……六日間…午後十時……



葵は偽椿に言った。

「これが事の真相です…」

葵はさらに言った。

「その他にも、広場であなたは爆発が起きた時に、最初に避難を促しました…普段は喋る事の無いあなたが……そして僕たちがパーティールームに戻った時に、あなたが組分けを提案した時点で…確証が持てました…」

偽椿は苦笑いしながら言った。

「私はまんまと君に引っ掛かったと?…少々君を見くびっていたようです…」

「それは僕もです……まさかここまで後手にわまるとは…ハッタリもたまには役に立ちます…」

偽椿の表情が強張った。

「まさか……脱出方法のメモは…」

「そんなものありません…システムは解析しましたが、脱出方法はまだわかりません…」

偽椿は呆れたように言った。

「フフフ……やはり君は面白い……月島葵…」

葵が言った。

「さぁ、僕のネタばらしはここまでです…あなたは何者ですか?」

偽椿は葵に撃たれた腕を抑え、力を振り絞り、歩に向かって言った。

「Doctor Watanabe(渡辺先生)」

「Why did you help me?(何故私を助けた?)」

その言葉を聞いた歩は表情を強張らせた。

葵は偽椿に言った。

「どういう事です?…助けた?」

歩は偽椿に言った。

「君は…まさか…」


「フフフ……言ったはずですよ……」


「……死なせてくれと……」

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